ちょっと役立つコラム
10.52026
自筆証書遺言とは?初めて遺言書を書く方へ【静岡県の行政書士が解説】

「そろそろ遺言書を書いておこうかな」
そう思っても、実際には何から始めればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
遺言書にはいくつかの種類がありますが、その一つが「自筆証書遺言」です。
自筆証書遺言は、公証人や証人の立会いを必要とせず、ご自身で作成できる遺言書です。ただし、法律上の決まりがあるため、好きなように書けばよいというわけではありません。
また、作成した遺言書を封筒に入れる必要があるのか、どこに保管すればよいのかなど、書き方以外にも気になることがあると思います。
この記事では、これから初めて自筆証書遺言を作成する方に向けて、作成前の準備から作成後の保管方法まで、知っておきたい基本的な事項を法律に基づいて解説します。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、原則として、遺言をする本人が遺言書の全文、日付、氏名を自分で書き、押印して作成する遺言書です。
民法第967条では、普通の方式による遺言として、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類が定められています。
そのうち、自筆証書遺言について定めているのが民法第968条です。
自筆証書遺言は、公証役場に出向かなくても作成できる一方で、法律で定められた方式を守らなければ、無効となる場合があります。
具体的には、遺言書の本文、作成した日付、氏名を本人が自書し、押印する必要があります。
なお、財産目録については、一定の条件を満たせばパソコンなどで作成したものを添付することも認められています。
自筆証書遺言は何歳から作成できる?
遺言書は高齢になってから作成するもの、というイメージがあるかもしれません。
しかし、民法第961条では、15歳に達した者は遺言をすることができると定めています。
そのため、遺言書を作成するために18歳以上である必要はありません。
ただし、民法第963条では、遺言をするときに遺言能力を有していることが必要とされています。
遺言能力とは、遺言の内容や、その遺言によって生じる結果などを理解し、判断する能力をいいます。
年齢の条件を満たしていても、遺言をした時点で遺言能力が認められなければ、有効な遺言とはなりません。
また、遺言は本人の意思に基づいて行うものです。
家族などから遺言書の作成を勧められた場合でも、実際にどのような内容にするのかは、ご本人が判断することになります。
遺言書を書き始める前に準備しておきたいこと
自筆証書遺言を作成するときは、いきなり遺言書を書き始める必要はありません。
まずは、ご自身の財産や相続関係を確認し、どのような内容にしたいのかを整理しておくとよいでしょう。
財産を確認する
最初に、現在所有している財産を確認します。
例えば、不動産を所有している場合には、登記事項証明書などで土地や建物の情報を確認しておく方法があります。
預貯金についても、金融機関名や支店名、口座などの情報を整理しておくと、対象となる財産を特定しやすくなります。
特に不動産の場合、普段使用している住所と、登記されている土地の地番などが異なることもあるため、正確な情報を確認することが大切です。
誰に財産を残したいのか考える
財産を確認したら、誰にどの財産を引き継いでもらいたいのかを整理します。
その際には、法定相続人が誰になるのかについても確認しておく必要があります。
民法では、相続人となる方の範囲や相続順位などが定められています。
また、一定の相続人には遺留分が認められており、遺言の内容によっては遺留分侵害額請求の問題が生じる可能性もあります(民法第1042条、第1046条)。
ご自身の希望を整理すると同時に、法律上の権利関係も確認しておくことが重要です。
自筆証書遺言は何枚になってもよい?
遺言書を書くときに、用紙の枚数を気にされる方もいるかもしれません。
自筆証書遺言について、民法第968条では、遺言書を必ず1枚にまとめなければならないとは定めていません。
そのため、記載する内容が多い場合には、複数枚に分けて作成することも可能です。
ただし、複数枚で一通の遺言書を構成する場合には、それらが一体の遺言書であることが明確になるようにしておくことが大切です。
また、法律上の方式を満たすことと、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用できることは、必ずしも同じではありません。
法務局で保管する場合には、A4サイズの用紙を使用することや、所定の余白を確保すること、用紙の片面のみに記載することなど、別途様式上の決まりがあります。
法務局での保管を考えている場合は、最初から保管制度に対応した様式で作成するとよいでしょう。
遺言書は封筒に入れて封印する必要がある?
自筆証書遺言を作成した後、封筒に入れるべきか迷う方もいると思います。
実は、自筆証書遺言について、法律上、封筒に入れたり、封印したりすることが有効となるための必須条件とはされていません。
そのため、封筒に入っていないことだけを理由として、遺言書が無効になるわけではありません。
もっとも、自宅などで保管する場合には、遺言書の汚損や紛失、第三者による書換えなどにも注意する必要があります。
また、封印した遺言書については、開封する際に法律上の決まりがあります。
民法第1004条第3項では、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できないと定めています。
したがって、遺言書を発見した家族が、内容を確認しようとして勝手に開封してよいわけではありません。
一方、法務局の保管制度を利用する場合には、封をしていない遺言書を提出する必要があります。
封筒に入れるかどうかについては、どのような方法で保管するのかも踏まえて考えることが大切です。
遺言書を作成したことは家族に伝えてもよい?
遺言書を作成したことを家族に伝えるべきかどうか、迷われる方もいるでしょう。
自筆証書遺言について、法律上、作成したことを家族に知らせなければならないという決まりはありません。
また、作成した遺言書を家族に見せること自体が、一律に禁止されているわけでもありません。
遺言書を作成したことを伝えるかどうかは、ご本人の判断になります。
ただし、自宅などで保管する場合には、ご本人が亡くなった後に遺言書を発見してもらえない可能性も考えられます。
そのため、内容まですべて伝えるのではなく、遺言書の存在や保管場所を信頼できる方に知らせておくことも、一つの方法です。
なお、法務局の保管制度には、遺言者が指定した方に対する通知などの仕組みもあります。
遺言書の内容をどこまで知らせるかという問題と、亡くなった後に遺言書を発見してもらうための対策は、分けて考えてもよいでしょう。
作成した自筆証書遺言はどこに保管する?
自筆証書遺言を作成した後は、原本をどのように保管するかについても考える必要があります。
自筆証書遺言には、自宅などで保管する方法のほか、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する方法があります。
自宅で保管する場合には、法務局への保管申請は必要ありません。
ただし、遺言書が紛失したり、亡くなった後に発見されなかったりする可能性があります。
一方、法務局の保管制度を利用する場合には、法律で定められた手続きに従って、遺言書の原本を法務局で保管してもらうことができます。
ただし、法務局で保管されることによって、遺言書の内容の有効性まで保証されるわけではありません。
また、自宅で保管する場合と法務局で保管する場合では、亡くなった後の手続きにも違いがあります。
保管方法は、遺言書を作成する段階で検討しておくとよいでしょう。
遺言書を作成した人が亡くなった後はどうなる?
自筆証書遺言は、作成した本人が亡くなったときに効力が生じます(民法第985条第1項)。
ただし、亡くなった後に遺言書を使って相続などの手続きを進める際には、保管方法によって必要となる手続きが異なります。
自宅などで保管していた場合
自宅などで保管していた自筆証書遺言については、原則として、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。
民法第1004条では、遺言書の保管者が相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出し、検認を請求しなければならないと定めています。
保管者がいない場合に、相続人が遺言書を発見したときも同様です。
検認とは、遺言書の存在や状態、記載内容などを確認し、偽造や変造を防止するための手続きです。
なお、検認は、遺言書が法律上有効であるかどうかを判断する手続きではありません。
法務局で保管していた場合
法務局の保管制度を利用していた場合には、家庭裁判所の検認は不要です。
遺言者が亡くなった後、相続人など一定の方は、法律で定められた手続きに従って、遺言書情報証明書の交付を請求することなどができます。
ただし、法務局で保管されているというだけで、遺言書の内容が自動的に実現するわけではありません。
遺言の内容に応じて、不動産や預貯金などについて必要な手続きを進めることになります。
一度作成した遺言書は書き直せる?
「一度作った遺言書は、もう変更できないのでは?」
そう思われる方もいるかもしれませんが、遺言書は作成後に変更することもできます。
民法第1022条では、遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を撤回できると定めています。
また、民法第1023条では、前の遺言と後の遺言が抵触する場合には、その抵触する部分について、後の遺言で撤回したものとみなす旨が定められています。
例えば、遺言書を作成した後に不動産を売却したり、新たに財産を取得したりすることもあるでしょう。
その場合、以前に作成した遺言書が、現在の財産の状況やご本人の希望に合っているかを確認する必要があります。
なお、財産の状況が変わったからといって、遺言書のすべてが当然に無効になるわけではありません。
ただし、以前の内容と現在の状況が一致していないと、亡くなった後の手続きで問題が生じる可能性があります。
そのため、財産や家族の状況、ご本人の希望が変わった場合には、遺言書を見直し、必要に応じて新しく作成し直すことをおすすめします。
まとめ|初めて遺言書を作成する方へ
自筆証書遺言は、法律で定められた方式を守れば、ご自身で作成できる遺言書です。
ただし、初めて作成する場合には、本文の書き方だけでなく、財産や相続関係の確認、保管方法、亡くなった後の手続きなど、考えておきたいことがあります。
また、法律上の方式を満たしていても、遺言の内容が不明確であったり、現在の財産の状況と合っていなかったりすると、後の手続きで問題が生じることも考えられます。
おばた行政書士事務所では、自筆証書遺言を作成したい方に向けて、ご本人の希望や財産の内容を確認しながら、遺言書の文案作成などをサポートしています。
「初めてなので、何から始めればよいかわからない」
「自分で遺言書を書くつもりだけれど、内容に不備がないか心配」
「法務局の保管制度を利用したい」
このような場合には、お気軽にご相談ください。
ご本人の希望を伺いながら、法律上のルールに沿った遺言書の作成をお手伝いいたします。
自筆証書遺言の作成に関するご相談は、おばた行政書士事務所までお問い合わせください。
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