ちょっと役立つコラム
5.32025
遺言書は個別具体的に書いた方が良いのか?【静岡県の行政書士が解説】

遺言書を書くとき、「すべての財産を長男に相続させる」といった大まかな書き方にするか、「〇〇銀行の預金は長男、不動産は次男に」といった具体的な記載にするか、迷う方もいらっしゃるかもしれません。
今回は「個別具体的に書くことのメリットとデメリット」について、行政書士の視点からお話しします。
個別具体的に書くメリット
1. 財産の行き先がはっきりする
「〇〇銀行の預金100万円は長男に」「△△市の土地は次男に」などと記載しておけば、相続人が財産の取り扱いで迷うことが少なくなります。
トラブルのもとになりがちな“認識のずれ”を防ぐことができます。
2. 遺産分割協議が不要になることも
遺言書に、誰がどの財産を受け取るのかが明確に書かれていれば、原則として相続人全員の同意による遺産分割協議は不要になります。
指定された相続人が単独で手続きを進められるため、相続手続きがスムーズに進むのは大きな利点です。
ただし、以下のような場合には協議が必要になることもあります
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つまり、遺言書の内容と形式が整っていれば協議は基本不要ですが、書き方次第では一部協議が必要になる可能性もあるという点は押さえておきたいところです。
3. 相続人間の公平感に配慮できる
たとえば、「長女には不動産、長男には現金100万円」と記しておけば、相続人ごとの取得内容を調整できます。
漠然と「全財産を長女に」とだけ書かれていた場合、他の相続人とのトラブルになりやすくなります。
個別具体的に書くことのデメリット
1. 財産の内容が変わると、遺言が使えなくなる可能性がある
遺言書作成後に、財産の内容が変わった場合(例:売却、口座の解約など)、遺言の内容と現実が一致しなくなることがあります。
たとえば、「〇〇銀行の口座をAに」と書いていても、解約されていた場合は無効になることも。
2. 財産の調査や記載が面倒
不動産の登記事項、銀行名・支店名・口座種別など、正確な情報を調べて記載する必要があり、労力がかかります。
誤記があると、手続きが滞ったり、無効になることもあります。
3. 分け方の調整が難しい場合もある
不動産と預金、株式などの財産をどのように公平に分けるかを個別に考える必要があり、特に相続人の人数が多い場合はバランス調整が難しくなることもあります。
では、どうするのが良いのか?
遺言書は、個別具体的に書いた方が“後々のトラブル防止”や“手続きの簡略化”に役立つケースが多いです。
ただし、将来的な財産の変化や、遺言書の管理、記載ミスなどに配慮する必要があります。
一番のポイントは、「書いた本人の想いが、きちんと実現される形になっているか」です。
専門家に相談して、無理のない形で作成を
遺言書は一度書けば終わりではなく、定期的な見直しも大切です。
また、作成する場合は様式の不備や表現の曖昧さに注意が必要ですので、不安がある方は行政書士など専門家にご相談ください。
おばた行政書士事務所では遺言書の作成のサポートを行っています。
まずはお気軽にお問い合わせください。