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障害福祉サービスの経営情報報告とは?事業者が知っておきたい新しい報告制度【静岡県の行政書士が解説】

障害福祉サービス事業所を運営していると、変更届や体制届、処遇改善加算に関する手続き、障害福祉サービス等情報公表制度への対応など、指定を受けた後もさまざまな手続きが発生します。

その中で、令和7年度から新たに対応が必要となったのが、障害福祉サービス等事業者の「経営情報」の報告です。

これまでの障害福祉サービス等情報公表制度では、事業所の基本情報や運営情報などを報告してきましたが、新たに収益や費用、職員数などの経営情報についても報告する仕組みが設けられました。

厚生労働省では、障害福祉サービス等事業者の経営情報を継続的に把握するため、WAM NET上の障害福祉サービス等情報公表システムに経営情報データベースを整備しています。

「うちの事業所も対象なの?」

「どんな数字を報告するの?」

「毎年報告しなければならないの?」

と戸惑っている事業者の方もいるのではないでしょうか。

この記事では、障害福祉サービス等事業者の経営情報報告について、厚生労働省、静岡県の公表資料および関係法令をもとに解説します。

 

障害福祉サービスの「経営情報報告」とは?

障害福祉サービス等情報公表制度は、事業者がサービス内容や運営状況などについて都道府県等へ報告し、その情報を公表する制度です。

この制度に、新たに「経営情報」の報告が加わりました。

厚生労働省によると、経営情報データベースは、障害福祉サービス等の現状や実態について理解を促すとともに、事業者の経営状況を踏まえた政策の検討、物価上昇、災害、新興感染症などによる経営への影響を踏まえた支援策の検討などに活用することを目的としています。

また、3年に1度実施されてきた障害福祉サービス等経営実態調査を補完し、継続的に経営情報を収集・把握する役割もあります。

そのため、一度だけ回答する調査ではありません。

経営情報は、毎会計年度の終了後に報告する必要があります。

 

原則としてすべての障害福祉サービス等事業者が対象

厚生労働省の資料では、経営情報について、原則としてすべての障害福祉サービス等事業者が報告対象とされています。

ただし、災害その他の事情により、都道府県知事等に対して報告を行うことができないことについて正当な理由がある場合は、報告対象から除外されます。

そのため、

「小規模な事業所だから対象外」

「利用者が少ないから報告しなくてもよい」

という制度ではありません。

自分の事業所が報告対象なのか分からない場合には、報告せずに判断するのではなく、指定権者に確認しておくことが大切です。

 

経営情報では何を報告する?

経営情報報告では、単に事業所の売上だけを入力するわけではありません。

厚生労働省の資料では、主な報告内容として、

・事業所・施設の名称、所在地などの基本情報
・事業所・施設の収入および費用
・職員の職種別人数などの人員に関する事項
・その他必要な事項

が示されています。

より具体的には、決算月、会計期間、採用している会計基準、消費税の経理方式、障害福祉サービス等事業収益、障害福祉サービス等事業費用、人件費、減価償却費、水道光熱費、職種別の職員数などが入力項目となっています。

静岡県の実施要綱でも、経営情報として、事業所や施設の基本情報、収益および費用、人員に関する情報などが報告事項として整理されています。

経営情報を入力する際には、決算書などを確認しなければならない項目もあります。

事業所の管理者だけでは数字を確認できず、法人本部、経理担当者、税理士などへの確認が必要になる場合もあるため、報告期限直前になってから準備するのではなく、早めに必要な情報を確認しておくと安心です。

 

職員の給与はどこまで報告する?

給与については、報告内容を区別して考える必要があります。

経営情報の「収入及び費用」の項目では、人件費およびその内訳である給与などが必須項目となっています。

一方で、職種別の職員給与については任意項目です。

厚生労働省の資料でも、職種別給与については「任意項目」とされています。

つまり、

「職員一人ひとりについて、個別の給与額を必ず入力する」

という制度ではありません。

人件費として必要な情報と、任意で入力する職種別給与を混同しないよう注意が必要です。

 

経営情報は原則としてサービス単位で報告

報告単位についても注意が必要です。

厚生労働省は、経営情報について、原則としてサービス単位で報告するとしています。

一方で、サービス単位や事業所単位で会計区分を行っていない場合など、やむを得ない場合については、事業所単位または法人単位で報告しても差し支えないとしています。

実際の入力画面でも、会計区分について、

「サービス単位」

「事業所単位」

「法人単位」

といった入力区分があります。

たとえば、一つの事業所で複数の障害福祉サービスを提供している場合に、それぞれのサービスごとに会計を分けているのか、それとも事業所全体でまとめて会計処理をしているのかによって、報告方法が変わることがあります。

多機能型事業所や、一つの法人で複数事業所を運営している場合には、特に会計区分を確認してから入力する必要があります。

 

報告した経営情報が事業所ごとに公開されるわけではない

「売上や人件費を報告したら、自分の事業所の経営状況がそのままインターネットで公開されるのでは?」

と心配になる方もいるかもしれません。

厚生労働省では、経営情報について、個別の事業所ごとに公表するのではなく、経営情報データベースを活用してグルーピングした分析結果を公表するとしています。

そのため、個人や事業所が特定される形で公表されるものではありません。

従来の情報公表制度では事業所ごとの情報が公表されますが、経営情報については公表方法が異なります。

 

経営情報の報告期限は「毎会計年度終了後3か月以内」

経営情報報告で特に注意したいのが、報告期限です。

厚生労働省の資料では、経営情報の報告期限は、

毎会計年度終了後3か月以内

とされています。

たとえば、3月末に会計年度が終了する法人であれば、原則として6月末までに報告することになります。

令和7年度の初回報告については経過措置があり、令和6年度決算情報は令和8年3月31日までに報告する取扱いとなっていました。

令和8年度以降は、原則どおり毎会計年度終了後3か月以内に対応する必要があります。

 

静岡県の通常の情報公表は7月31日まで

ここで注意したいのが、従来から行われている障害福祉サービス等情報公表制度との期限の違いです。

静岡県では、基本情報や運営情報などについて、実施要綱に基づく報告・更新期限を毎年7月31日と案内しています。

一方、経営情報については、毎会計年度終了後3か月以内です。

同じ障害福祉サービス等情報公表システムを使用する手続きですが、期限が同じとは限りません。

そのため、「毎年7月にWAM NETを更新しているから、経営情報もそのときに入力すればよい」と考えると、決算時期によっては経営情報の報告期限を過ぎてしまう可能性があります。

基本情報・運営情報と経営情報は、期限を分けて管理しておくことが大切です。

 

報告しない場合は「情報公表未報告減算」に注意

経営情報の報告は、任意のアンケートではありません。

厚生労働省の令和8年8月3日付「障害福祉サービス等情報公表制度に関するQ&A VOL.2」では、令和8年度以降の経営情報は毎年度の報告が必要であり、未報告の場合には報告期限の翌月から情報公表未報告減算の対象となることが示されています。

初年度については経過措置があり、令和7年度に報告を求められた令和6年度決算情報について、令和8年3月末までに報告されなかった場合には、都道府県等が報告するよう指導してもなお報告を行わなかった場合、令和8年4月1日に遡って減算の対象とする取扱いが示されています。

これからは、経営情報についても毎年度の手続きとして期限を管理しておく必要があります。

 

新規開設した事業所はどうなる?

新規指定を受けた事業所の場合、報告対象となる会計年度の決算情報が存在しないことがあります。

その場合、存在しない決算情報まで作成して報告するというものではありません。

厚生労働省のQ&Aでは、たとえば令和7年5月に開設した事業所について、令和6年度分の経営情報は報告不要であり、その後の令和7年度分から報告する取扱いが示されています。

つまり、新規事業所だから経営情報報告そのものが不要になるわけではなく、実際に報告対象となる決算情報が存在する年度から対応することになります。

これから事業所を開設する場合には、新規指定申請だけでなく、指定後にどのような手続きが必要になるのかも確認しておくことが大切です。

 

指定を受けた後にもさまざまな届出・報告がある

障害福祉サービス事業所を新しく開設する場合、まず大きな手続きとなるのが新規指定申請です。

しかし、指定を受ければ行政手続きがすべて終わるわけではありません。

指定後には、

変更届
体制届
各種加算に関する届出
処遇改善加算に関する手続き
障害福祉サービス等情報公表制度への対応
経営情報の報告

 

など、さまざまな手続きが発生します。

事業所の運営に集中していると、行政から届いた案内を確認することや、複数の提出期限を管理することが負担になることもあります。

特に経営情報報告は、すべての事業者で同じ日に期限を迎えるわけではなく、それぞれの会計年度によって期限が変わります。

新規指定の段階から、

「指定後にどんな手続きがあるのか」

「誰が期限を管理するのか」

「WAM NETのアカウントを誰が管理するのか」

「決算に関する数字を誰に確認するのか」

まで整理しておくと、手続き漏れを防ぎやすくなります。

 

静岡県で障害福祉サービス事業を運営している方へ

静岡県では、障害福祉サービス等情報公表制度について、WAM NETの「障害福祉サービス等情報公表システム」から事業所情報を入力し、入力後に承認申請を行う方法を案内しています。

経営情報についても、同システム上の経営情報データベースを利用して報告します。

ただし、実際に入力する内容は、事業所の会計区分や運営しているサービスによって異なることがあります。

複数のサービスを運営している場合や、法人単位で会計処理をしている場合などは、入力前に報告単位を確認しておくことが大切です。

 

障害福祉サービスは「指定後の手続き管理」も大切です

障害福祉サービス事業では、新規指定申請だけでなく、指定後も届出や報告が継続して発生します。

また、制度改正や報酬改定によって、新しい手続きが加わったり、これまでの取扱いが変更されたりすることもあります。

経営情報報告も、そのような指定後の手続きの一つです。

「指定は受けたけれど、その後に何をすればよいのか分からない」

「届出や報告の期限を自分たちだけで管理するのが大変」

「制度改正のたびに調べるのが負担になっている」

という場合には、年間を通して必要な手続きを整理しておくことが大切です。

 

静岡県の障害福祉サービスの新規指定・指定後の手続きをサポートします

おばた行政書士事務所では、障害福祉サービス事業所の新規指定申請から、指定後の各種届出・報告までサポートしています。

これから障害福祉サービス事業所を開設したい方はもちろん、

「指定後に必要な手続きが分からない」

「変更届や体制届などを確認してほしい」

「毎年の行政手続きを継続してサポートしてほしい」

という事業者様からのご相談にも対応しています。

また、指定後の届出や制度改正への対応を継続的に確認したい事業者様には、顧問契約によるサポートも行っています。

障害福祉サービスの新規指定申請や、指定後の行政手続きについてお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。

おばた行政書士事務所へのお問い合わせはこちらから

 

 

LINE公式 おばた行政書士事務所

※この記事は、2026年9月28日時点で公表されている厚生労働省「障害福祉サービス等情報公表制度」、同制度に関するQ&A VOL.2(令和8年8月3日)、経営情報データベースに関する厚生労働省資料、静岡県「障害福祉サービス等情報公表制度について」および関係法令をもとに作成しています。制度やシステムの取扱いは今後変更される可能性があるため、実際の手続きの際には最新の行政情報をご確認ください。

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