ちょっと役立つコラム

【著作権・デジタル資産の相続について】Kindle出版や商業出版の印税は相続できる?【静岡県の行政書士が解説】

「もし自分が突然亡くなったら、出版している本の印税はどうなるのだろう?」

最近、ふとそんなことを考えました。

私は行政書士として相続や遺言に関するご相談を受けることがあります。

また、自身でもKindle出版を行い、商業出版にも携わった経験があります。

そのため、

  • Kindle本の印税
  • 商業出版の印税
  • 著作権
  • noteやYouTubeなどの収益

は相続の対象になるのだろうかと気になりました。

近年は個人でも電子書籍やブログ、YouTubeなどを通じて収益を得ることができる時代です。その一方で、こうした「デジタル資産」の相続については、まだ十分に知られていません。

そこで今回は、

「著者が亡くなった場合、印税や著作権はどうなるのか」

について、行政書士の視点から分かりやすく解説したいと思います。

 

印税は相続財産になるの?

結論から言うと、印税を受け取る権利は相続財産になると考えられます。

相続財産というと、

  • 預貯金
  • 不動産
  • 株式

などを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、相続の対象となるのは目に見える財産だけではありません。

民法第896条では、被相続人の財産上の権利義務は原則として相続人に承継されると定められています。

そのため、出版社との契約に基づく印税請求権や、著作権に基づく経済的利益も相続の対象となります。

つまり、著者が亡くなった後も本が売れ続ければ、その印税を受け取る権利は相続人へ引き継がれる可能性があります。

 

Kindle出版の場合はどうなる?

近年増えているのが、Amazon Kindle Direct Publishing(KDP)を利用した電子書籍出版です。

Kindle出版の場合でも、

  • 著作権
  • 未払いの印税
  • 今後発生する印税請求権

などは相続財産となる可能性があります。

例えば、著者が亡くなった後も電子書籍が販売され続ければ、その売上に応じた印税が発生します。

もっとも、Amazonアカウントそのものの取扱いについては利用規約や個別事情によって異なる場合があります。

そのため、「家族がそのままアカウントを利用できる」とは限りません。

実際の手続きについては、Amazon側への確認が必要になるケースも考えられます。

ただし、少なくとも著作権や印税請求権そのものが消滅するわけではありません。

 

商業出版の印税はどうなる?

商業出版の場合も基本的な考え方は同じです。

出版社との契約内容によって詳細は異なりますが、著者が亡くなった後も、

  • 重版
  • 電子書籍化
  • 翻訳出版
  • 映像化

などによって収益が発生することがあります。

その場合の印税請求権は、相続人へ承継されることになります。

実際に有名作家の作品が亡くなった後も長期間販売され続けている例は数多くあります。

本は著者が亡くなった後も読み継がれる可能性があり、それに伴う権利も一定期間存続するのです。

 

著作権は死後何年まで続く?

著作権法第51条では、著作権の存続期間は原則として著作者の死後70年とされています。

つまり、著者が亡くなったからといって、すぐに著作権が消滅するわけではありません。

例えば39歳で亡くなった場合でも、その後70年間は著作権が保護されることになります。

その間、著作権は相続人によって管理されることになります。

本を書くという行為は、単なる収益活動ではなく、将来にわたって残る知的財産を生み出すことでもあるのです。

 

実は見落とされやすい「デジタル資産」

近年、相続の現場で問題となることが増えているのがデジタル資産です。

例えば、

  • Kindle印税
  • YouTube収益
  • noteの売上
  • ブログ収益
  • アフィリエイト報酬
  • オンライン講座の売上

などです。

これらは預金通帳のように形がありません。

そのため、ご家族が存在を知らないケースも少なくありません。

国民生活センターも「デジタル遺品」に関する注意喚起を行っており、本人しか把握していないネット上の契約や資産が問題になるケースが紹介されています。

相続手続きにおいては、「財産を残すこと」だけでなく、「財産の存在を家族に分かるようにしておくこと」も重要なのです。

 

発信をしている方ほど相続対策を

私は行政書士として活動する一方で、

  • Kindle出版
  • 商業出版
  • ブログ
  • note
  • YouTube

などの発信活動も行っています。

そのため今回調べながら、「自分に何かあった時に家族は把握できるだろうか」と考えさせられました。

例えば、

  • 出版している書籍一覧
  • 出版社の連絡先
  • Amazon KDP利用の有無
  • 収益化しているサービス
  • 振込先口座

などを本人しか知らない場合、ご家族は相続手続きを進めることができません。

特に個人事業主や発信活動をされている方は、一度整理しておくことをおすすめします。

 

遺言書やエンディングノートの活用も有効

例えば、

「著作権を長女に相続させたい」

という希望がある場合には、遺言書の活用が有効なケースがあります。

また、

  • 出版社名
  • 管理サイト
  • 収益化サービス
  • 契約先

などをエンディングノートにまとめておくことも有効です。

相続が発生した後、ご家族が困らないための準備は決して高齢者だけのものではありません。

発信活動をしている方ほど、早めに考えておく価値があると思います。

まとめ

Kindle出版や商業出版をしている方が亡くなった場合、

  • 印税を受け取る権利は相続財産になる可能性がある
  • 著作権も相続の対象となる
  • 著作権は原則として死後70年間存続する
  • Kindle出版でも著作権や印税請求権が相続対象となる可能性がある
  • デジタル資産は見落とされやすいため整理が重要
  • 遺言書やエンディングノートの活用も有効

ということになります。

相続というと不動産や預金に目が向きがちですが、これからの時代は著作権やデジタル資産も重要な相続財産の一つです。

「自分の場合はどうなるのだろう?」

そんな疑問をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

 

 

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【参考法令・参考資料】

民法第896条(相続の一般的効力)

著作権法第51条(著作権の存続期間)

【文化庁】著作権を学ぶ(教材・講習会)

国民生活センター「始めましょう!デジタル終活」

 

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