温泉利用許可申請とは?
温泉法では、温泉を公共の浴用や飲用に利用する場合、原則として都道府県知事の許可を受ける必要があります。
つまり、
- 温泉旅館
- ホテル
- 温泉付き貸別荘
- 日帰り温泉施設
- 温浴施設
などで、利用者に温泉を提供する場合には、「温泉利用許可」が必要になるケースが多いです。
「源泉を持っているかどうか」は関係ありません。
他社から温泉を購入している場合でも、利用許可が必要になることがあります。
旅館業許可とは別の手続きです
ここは非常に誤解されやすい部分です。
「旅館業許可を取得すれば、温泉も使える」と思われることがありますが、実際には別々の制度です。
簡単に言うと、
- 旅館業許可
→ 宿泊営業をしてよいか
- 温泉利用許可
→ 温泉を利用してよいか
という違いがあります。
そのため、温泉旅館を営業する場合には、
- 旅館業許可
- 温泉利用許可
の両方が必要になるケースが一般的です。
地域によっては、保健所との事前相談の段階で「温泉利用許可も必要になりますね」と案内されることもあります。
温泉利用許可が必要になるケース
代表的なのは次のようなケースです。
温泉旅館・ホテル
もっとも多いケースです。
大浴場や露天風呂に温泉を使用する場合、温泉利用許可が必要になります。
温泉付き貸別荘・ヴィラ
最近増えているのがこちらです。
一棟貸しの宿泊施設でも、温泉を利用者に提供する場合には、温泉利用許可が必要になることがあります。
「小規模だから不要」というわけではありません。
日帰り入浴施設・温浴施設
日帰り温浴施設やスーパー銭湯などでも、温泉を利用する場合には温泉利用許可が必要になることがあります。
ただし、ここで注意が必要なのは、「入浴施設=すべて温泉」というわけではない点です。
実際には、
- 地下水を加温している施設
- 上水を利用している施設
- 温泉を使用していない浴場施設
もあります。
そのため、「スーパー銭湯だから必ず温泉利用許可が必要」というわけではなく、“温泉法上の温泉を利用しているか”がポイントになります。
また、日帰り入浴施設を営業する場合には、別途、公衆浴場法に基づく営業許可が必要になるケースもあります。
つまり、
- 公衆浴場営業許可
→ 入浴施設を営業するための許可
- 温泉利用許可
→ 温泉を利用するための許可
という形で、別々の制度として確認が必要になります。
温泉利用許可申請で確認されること
温泉利用許可では、単に「温泉だからOK」というわけではありません。
利用方法や衛生面なども確認されます。
温泉の成分
温泉成分分析書をもとに、温泉の性質を確認します。
例えば、
などです。
なお、温泉成分分析書は古いままでは使えないことがあります。
特に、長期間更新されていない場合は、再分析を求められるケースがあります。
実務上、「10年以上前の分析書」の場合は注意が必要です。
利用設備
浴槽の構造や配管なども確認対象になることがあります。
例えば、
などです。
近年は、利用者保護や衛生管理の観点から、このあたりの確認も重要視されています。
掲示内容
温泉施設では、利用者向けの掲示が必要になることがあります。
例えば、
- 温泉の成分
- 禁忌症
- 入浴上の注意
- 加水・加温・循環の有無
などです。
温泉好きの方だと、脱衣所などで見たことがあるかもしれません。
申請前の事前相談はかなり重要です
温泉利用許可申請では、事前相談が非常に重要です。
理由としては、自治体によって運用がかなり異なるためです。
例えば、
- どの段階で相談するか
- 必要書類
- 図面の内容
- 追加資料
- 旅館業許可との進め方
などが地域によって変わることがあります。
そのため、工事が進んでから相談するよりも、できるだけ早い段階で保健所や担当課へ確認することをおすすめします。
必要書類の例
自治体によって異なりますが、一般的には次のような書類が必要になります。
- 温泉利用許可申請書
- 施設の平面図
- 配管図
- 温泉成分分析書
- 源泉に関する資料
- 浴槽の形状が分かる資料
- 位置図
- 温泉利用承諾書
- 循環器型の場合は循環ろ過器の概要書
などです。
既存旅館の引継ぎでも注意が必要です
意外と見落とされやすいのが、旅館の事業承継や譲渡のケースです。
「以前から温泉を使っていた施設だから、そのまま営業できると思っていた」というケースもありますが、温泉利用許可については注意が必要です。
近年、旅館業法では事業譲渡等に伴う承継制度が整備されており、一定の場合には旅館業許可を引き継げるケースがあります。
しかし、温泉利用許可については、旅館業許可とは別制度です。
そのため、
といった場合には、新たに温泉利用許可申請が必要になるケースがあります。
温泉を利用する施設では、旅館業許可だけではなく、“温泉利用許可がどのような扱いになるのか”も含めて確認しておくことが大切です。
特に、
などを伴う場合は、事前に自治体へ確認しておくと安心です。
温泉利用許可申請のスケジュール感
自治体や案件内容によって変わりますが、
という流れで進むことが一般的です。
旅館業許可と並行して進めるケースも多いため、オープン予定日から逆算して動くことが大切です。
特に観光シーズン前の開業を予定している場合は、余裕を持った準備をおすすめします。
温泉利用許可申請に関する疑問点
「温泉を運んでくる場合でも必要ですか?」
必要になるケースがあります。
温泉利用許可では、「源泉を所有しているか」ではなく、“温泉を利用者へ提供するか”がポイントになります。
そのため、自社で源泉を持っていなくても、
- タンクローリー等で温泉を運搬する
- 別の温泉施設から供給を受ける
といった形で温泉を利用する場合には、温泉利用許可の確認が必要になることがあります。
また、運搬を伴うケースでは、通常の温泉利用許可申請に加えて、追加資料を求められることもあります。
例えば、
- 運搬計画
- 運搬経路
- 使用する車両の資料
- タンクの資料
- 衛生管理方法
などです。
特に、温泉は衛生管理も重要になるため、
- どのように運搬するのか
- 温泉の品質をどう維持するのか
- 衛生面をどう管理するのか
といった点について確認されることがあります。
そのため、「温泉を購入して運ぶだけだから簡単」というわけではなく、事前相談の段階で必要資料を確認しておくことが大切です。
「貸別荘でも必要ですか?」
必要になる可能性があります。
近年増えている、
などでも、宿泊者向けに温泉を提供する場合には、温泉利用許可の確認が必要になることがあります。
「小規模施設だから不要」
「旅館ではないから関係ない」
と思われることもありますが、実際には“どのような形態の施設か”よりも、「温泉を利用者へ提供するか」がポイントになります。
そのため、貸別荘やグランピング施設で温泉を利用する予定がある場合は、早い段階で自治体へ確認しておくと安心です。
特に最近は、宿泊施設の形態が多様化しているため、「このケースは旅館業なのか」「温泉利用許可は必要なのか」といった点を個別に確認しながら進めるケースも増えています。
最後に
温泉利用許可申請は、旅館業許可に比べると情報が少なく、「何から確認すれば良いのか分からない」という声も多い手続きです。
また、
- 温泉成分分析書
- 配管系統
- 加温・循環の有無
- 既存施設の引継ぎ
など、実際に進めると細かな確認事項も多くあります。
特に、旅館業許可と並行して進める場合は、スケジュール調整も重要になります。
「このケースで温泉利用許可は必要?」
「既存旅館の引継ぎだけど大丈夫?」
「温泉付き貸別荘を始めたい」
このような場合は、早めに確認しておくとスムーズです。