ちょっと役立つコラム
5.62026
旅館業許可だけでは足りない?温泉利用で必要な手続きまとめ【静岡県の行政書士が解説】

はじめに|温泉付き旅館の開業、「旅館業許可だけ」で大丈夫?
温泉付きの旅館を開業しようと考えたとき、まず意識されるのは「旅館業許可」ではないでしょうか。
実際、旅館業許可は開業において欠かせない大切な手続きです。
ただ、ここでひとつ押さえておきたいポイントがあります。
温泉を利用する場合は、旅館業許可だけでは足りないことがあるという点です。
温泉を使う場合には、温泉法に基づいた別の許可や手続きが関わってきます。
このあたりは制度が分かれているため、「どこまで必要なのか分かりにくい」と感じやすい部分でもあります。
開業準備の後半で気づくと、スケジュールに影響することもあるため、
最初に全体像を整理しておくことがとても大切です。
この記事では、温泉付き旅館の開業を検討されている方に向けて、
- 温泉利用で必要な手続き
- 温泉利用許可の基本
- 申請時に迷いやすいポイント
を、できるだけシンプルに整理していきます。
温泉付き旅館の開業で必要な手続きの全体像
温泉付き旅館の開業では、主に次の2つの法律が関わります。
- 旅館業法(旅館業許可)
- 温泉法(温泉の掘削・採取・利用)
温泉法の手続きは、さらに次のように分かれています。
- 温泉を掘る(温泉掘削許可)
- 温泉を採取する(温泉採取許可・確認)
- 温泉を利用する(温泉利用許可・表示義務)
すべてが必要になるわけではありませんが、
どこに該当するかによって必要な手続きが変わります。
ここを整理しないまま進めてしまうと、
後から追加対応が発生しやすくなります。
温泉を掘る場合|温泉掘削許可
新たに温泉を掘る場合は、温泉掘削許可(都道府県知事の許可)が必要です。
審査では、
- 既存温泉への影響(湧出量・温度・成分)
- 周辺環境への影響
- 技術的な安全性
などが確認されます。
温泉は地域の大切な資源なので、自由に掘削できるものではありません。
また、実務上の注意点として許可の有効期限は2年という点も押さえておきたいところです。
温泉の採取|温泉採取許可と可燃性ガス対策
温泉をくみ上げて利用する場合には、温泉採取許可や確認が必要になることがあります。
ここで重要になるのが、可燃性天然ガス(メタンガス)対策です。
温泉にはガスが含まれていることがあり、対策を怠ると事故につながるリスクがあります。
そのため、
- ガス分離設備の設置
- 火気使用の制限
- 設備の設置場所の制限
といった技術基準が設けられています。
温泉というと「お湯」のイメージが強いですが、実務ではガス対策も重要なポイントになります。
温泉の利用|温泉利用許可と表示義務
宿泊者に温泉を提供する場合は、温泉利用許可が必要になります。
また、施設内には以下の内容を掲示する必要があります。
- 温泉の成分
- 入浴上の注意
- 禁忌症
- 加水・加温・循環ろ過の有無
ここで見落としやすいのが、成分分析は10年以内のものが必要という点です。
開業時は問題なくても、更新を忘れてしまうケースもあるため注意が必要です。
温泉利用許可とは?申請代行を検討する前に押さえたいポイント
温泉利用許可は、ご自身で申請することも可能な手続きです。
ただ、実際には
- 図面や設備内容の整理
- 成分分析書の確認
- 他の許可(旅館業・消防など)との整合
といった点を調整する必要があります。
そのため、温泉利用許可の申請代行を行政書士に依頼されるケースも多い手続きのひとつです。
特に、
- 開業スケジュールが決まっている
- 複数の許可を同時に進めている
- 手続きの抜け漏れを防ぎたい
といった場合には、申請代行を活用することで全体の流れが整理しやすくなります。
よくある見落とし|温泉法の手続きが後回しになる
温泉付き旅館の開業では、
- 旅館業許可
- 建築・消防
- 設備工事
など、やることが多くなります。
その中で、温泉法の手続きが後回しになってしまうというケースは少なくありません。
- 既存の温泉を使うから大丈夫だと思っていた
- 設備業者に任せていた
このような場合でも、別途手続きが必要になることがあります。
開業前にやっておきたいシンプルな整理
スムーズに進めるために、まずは次の点を軽く整理しておくのがおすすめです。
- 温泉は新たに掘るのか、それとも既存のものを使うのか
- 温泉の取り方(自家源泉か引湯か)
- 利用方法(主に浴用か、飲用もあるか)
特に、新規掘削かどうかで必要な手続きが大きく変わるため、この点は早めに確認しておくと安心です。
ここを押さえるだけで、必要な手続きがかなり見えてきます。
詳しくはこちらをご参照ください。
まとめ|温泉付き旅館の開業は「最初の整理」がカギ
温泉付き旅館の開業では、
- 旅館業許可
- 温泉法に基づく許可・手続き
の両方を考える必要があります。
少し複雑に感じるかもしれませんが、最初に整理しておくことで
- 手戻りを防げる
- スケジュールが安定する
- 不要なリスクを避けられる
といったメリットがあります。
温泉付きの旅館開業を考えている方や、温泉利用許可の手続きをどう進めるべきか迷っている方は、一度全体像を整理しておくと、その後の動きがぐっとスムーズになります。
また、「自分で進められるのか」「申請代行をお願いした方がいいのか」で悩まれる場面もあるかと思います。
そうした場合には、状況に応じて、必要な手続きや進め方を整理しながら、無理のない形をご提案することも可能です。
無理に進めてから修正するよりも、最初に方向性を確認しておく方が安心です。
まずはお気軽にご相談ください。
あなたの想いに寄り添いながら、開業という大きな一歩を全力でサポートいたします。

なお、温泉法については、実務として関わる中で、講師としてお話しさせていただく機会もいただいています。
制度の基本的なところから、実務でつまずきやすいポイントまで、できるだけイメージしやすい形でお伝えすることを心がけています。
温泉に関する手続きは少し分かりにくい部分もあるため、事業者様向けの勉強会や研修などでも、お役に立てる場面があるかもしれません。
講師のご依頼については、こちらにまとめていますので、よろしければご覧ください。











