ちょっと役立つコラム

旅館業許可だけでは足りない?温泉利用で必要な手続きまとめ【静岡県の行政書士が解説】

はじめに|温泉付き旅館の開業、「旅館業許可だけ」で大丈夫?

温泉付きの旅館を開業しようと考えたとき、まず意識されるのは「旅館業許可」ではないでしょうか。

実際、旅館業許可は開業において欠かせない大切な手続きです。

ただ、ここでひとつ押さえておきたいポイントがあります。

温泉を利用する場合は、旅館業許可だけでは足りないことがあるという点です。

温泉を使う場合には、温泉法に基づいた別の許可や手続きが関わってきます。

このあたりは制度が分かれているため、「どこまで必要なのか分かりにくい」と感じやすい部分でもあります。

開業準備の後半で気づくと、スケジュールに影響することもあるため、
最初に全体像を整理しておくことがとても大切です。

この記事では、温泉付き旅館の開業を検討されている方に向けて、

  • 温泉利用で必要な手続き
  • 温泉利用許可の基本
  • 申請時に迷いやすいポイント

を、できるだけシンプルに整理していきます。

温泉付き旅館の開業で必要な手続きの全体像

温泉付き旅館の開業では、主に次の2つの法律が関わります。

  • 旅館業法(旅館業許可)
  • 温泉法(温泉の掘削・採取・利用)

温泉法の手続きは、さらに次のように分かれています。

  • 温泉を掘る(温泉掘削許可)
  • 温泉を採取する(温泉採取許可・確認)
  • 温泉を利用する(温泉利用許可・表示義務)

すべてが必要になるわけではありませんが、
どこに該当するかによって必要な手続きが変わります。

ここを整理しないまま進めてしまうと、
後から追加対応が発生しやすくなります。

温泉を掘る場合|温泉掘削許可

新たに温泉を掘る場合は、温泉掘削許可(都道府県知事の許可)が必要です。

審査では、

  • 既存温泉への影響(湧出量・温度・成分)
  • 周辺環境への影響
  • 技術的な安全性

などが確認されます。

温泉は地域の大切な資源なので、自由に掘削できるものではありません。

また、実務上の注意点として許可の有効期限は2年という点も押さえておきたいところです。

温泉の採取|温泉採取許可と可燃性ガス対策

温泉をくみ上げて利用する場合には、温泉採取許可や確認が必要になることがあります。

ここで重要になるのが、可燃性天然ガス(メタンガス)対策です。

温泉にはガスが含まれていることがあり、対策を怠ると事故につながるリスクがあります。

そのため、

  • ガス分離設備の設置
  • 火気使用の制限
  • 設備の設置場所の制限

といった技術基準が設けられています。

温泉というと「お湯」のイメージが強いですが、実務ではガス対策も重要なポイントになります。

温泉の利用|温泉利用許可と表示義務

宿泊者に温泉を提供する場合は、温泉利用許可が必要になります。

また、施設内には以下の内容を掲示する必要があります。

  • 温泉の成分
  • 入浴上の注意
  • 禁忌症
  • 加水・加温・循環ろ過の有無

ここで見落としやすいのが、成分分析は10年以内のものが必要という点です。

開業時は問題なくても、更新を忘れてしまうケースもあるため注意が必要です。

温泉利用許可とは?申請代行を検討する前に押さえたいポイント

温泉利用許可は、ご自身で申請することも可能な手続きです。

ただ、実際には

  • 図面や設備内容の整理
  • 成分分析書の確認
  • 他の許可(旅館業・消防など)との整合

といった点を調整する必要があります。

そのため、温泉利用許可の申請代行を行政書士に依頼されるケースも多い手続きのひとつです。

特に、

  • 開業スケジュールが決まっている
  • 複数の許可を同時に進めている
  • 手続きの抜け漏れを防ぎたい

といった場合には、申請代行を活用することで全体の流れが整理しやすくなります。

よくある見落とし|温泉法の手続きが後回しになる

温泉付き旅館の開業では、

  • 旅館業許可
  • 建築・消防
  • 設備工事

など、やることが多くなります。

その中で、温泉法の手続きが後回しになってしまうというケースは少なくありません。

  • 既存の温泉を使うから大丈夫だと思っていた
  • 設備業者に任せていた

このような場合でも、別途手続きが必要になることがあります。

開業前にやっておきたいシンプルな整理

スムーズに進めるために、まずは次の点を軽く整理しておくのがおすすめです。

  • 温泉は新たに掘るのか、それとも既存のものを使うのか
  • 温泉の取り方(自家源泉か引湯か)
  • 利用方法(主に浴用か、飲用もあるか)

特に、新規掘削かどうかで必要な手続きが大きく変わるため、この点は早めに確認しておくと安心です。

ここを押さえるだけで、必要な手続きがかなり見えてきます。

 

詳しくはこちらをご参照ください。

【環境省】温泉法に関する通知・ガイドライン等

まとめ|温泉付き旅館の開業は「最初の整理」がカギ

温泉付き旅館の開業では、

  • 旅館業許可
  • 温泉法に基づく許可・手続き

の両方を考える必要があります。

少し複雑に感じるかもしれませんが、最初に整理しておくことで

  • 手戻りを防げる
  • スケジュールが安定する
  • 不要なリスクを避けられる

といったメリットがあります。

温泉付きの旅館開業を考えている方や、温泉利用許可の手続きをどう進めるべきか迷っている方は、一度全体像を整理しておくと、その後の動きがぐっとスムーズになります。

また、「自分で進められるのか」「申請代行をお願いした方がいいのか」で悩まれる場面もあるかと思います。

そうした場合には、状況に応じて、必要な手続きや進め方を整理しながら、無理のない形をご提案することも可能です。

無理に進めてから修正するよりも、最初に方向性を確認しておく方が安心です。

まずはお気軽にご相談ください。

あなたの想いに寄り添いながら、開業という大きな一歩を全力でサポートいたします。

 

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なお、温泉法については、実務として関わる中で、講師としてお話しさせていただく機会もいただいています。

制度の基本的なところから、実務でつまずきやすいポイントまで、できるだけイメージしやすい形でお伝えすることを心がけています。

温泉に関する手続きは少し分かりにくい部分もあるため、事業者様向けの勉強会や研修などでも、お役に立てる場面があるかもしれません。

講師のご依頼については、こちらにまとめていますので、よろしければご覧ください。

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