ちょっと役立つコラム
11.52026
契約書の契約期間はどう決める?自動更新条項の注意点【静岡県の行政書士が解説】

「契約期間はとりあえず1年間にしておけばいい?」
「自動更新の条項は入れた方がいいの?」
契約書を作成するとき、契約期間をどのように決めればよいのか迷うことはありませんか?
業務委託契約や継続的な取引では、契約期間を1年間とし、期間満了までに申し出がなければ自動更新する内容も考えられます。
しかし、契約期間や更新条件を十分に確認せずに決めてしまうと、契約を終了したいときに困ることがあります。
今回は、契約書の契約期間を決める際の考え方と、自動更新条項を設ける場合の注意点について解説します。
契約書の契約期間は自由に決められる?
契約期間は、原則として当事者間の合意によって決めることができます。
民法第521条第2項では、契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定できるとされています。
そのため、契約期間を3か月、6か月、1年間などとすることも、法律上の制限がなければ可能です。
ただし、すべての契約について自由に期間を決められるわけではありません。契約の種類によっては、法律で契約期間や契約終了について特別な規定が設けられています。
例えば、建物の賃貸借契約には借地借家法による規律があり、一般的な業務委託契約と同じように考えることはできません。
契約期間を決める際には、まず、どのような種類の契約なのかを確認する必要があります。
契約期間は何を基準に決めればいい?
契約期間に、すべての取引で共通する最適な長さがあるわけではありません。
例えば、一定の作業を数か月だけ依頼する場合と、毎月継続して業務を依頼する場合とでは、適切な契約期間も異なります。
短期間の契約であれば、比較的早い段階で契約条件を見直す機会を設けられます。一方、長期間の契約では、契約を更新する手間を減らせる反面、途中で取引条件を変更したくなる可能性も考えておかなければなりません。
また、業務を開始するために設備を購入したり、人員を確保したりする場合には、その費用をどの程度の期間で回収する予定なのかも判断材料になります。
契約期間が短すぎると、当初予定していた業務を十分に行えないこともあるでしょう。
反対に、長期間の契約を結んだものの、事業環境の変化によって契約内容が実情に合わなくなることもあります。
契約期間を決める際には、業務の内容、取引の継続性、費用負担、契約条件を見直す必要性などを踏まえることが大切です。
契約期間の開始日と終了日は明確にする
契約期間を定める場合には、いつからいつまで契約が続くのかを明確にしておきましょう。
例えば、次のような記載が考えられます。
「本契約の有効期間は、2027年4月1日から2028年3月31日までとする。」
このように具体的な年月日を記載すれば、契約の開始日と終了日を確認しやすくなります。
一方、「契約締結日から1年間」とする場合には、契約締結日がいつなのかを確認する必要があります。
なお、民法第138条から第143条には期間の計算方法が定められています。
民法第140条では、日、週、月または年によって期間を定めた場合、原則として初日を算入しないとされています。ただし、期間が午前0時から始まる場合は例外です。
また、民法第143条には、月や年によって期間を定めた場合の計算方法が規定されています。
契約書では、法律上の期間計算に委ねることもできますが、開始日と終了日を具体的に記載しておくことで、期間の認識違いを防ぎやすくなります。
特に、契約の締結日と実際に業務を開始する日が異なる場合には注意が必要です。
自動更新条項とは?
自動更新条項とは、契約期間が満了する際に、一定の条件を満たすと契約が更新されるよう、あらかじめ定めておく条項です。
例えば、次のような内容です。
「本契約の期間満了日の1か月前までに、いずれの当事者からも契約を更新しない旨の通知がない場合、本契約は同一条件でさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とする。」
この場合、定められた期限までに更新しない旨の通知がなければ、契約はさらに1年間更新される仕組みになります。
自動更新条項を設ければ、契約期間が満了するたびに新しい契約書を作成しなくても、あらかじめ合意した条件に従って取引を継続できます。
毎月発生する業務や、継続的なサービス提供などでは、こうした仕組みが役立つ場合があります。
ただし、自動更新条項を設けることが、すべての契約に適しているわけではありません。
契約の継続を希望しない場合の手続きまで考えておく必要があります。
自動更新条項で注意したい4つのポイント
1.更新しない場合の通知期限
自動更新条項で特に確認しておきたいのが、更新を希望しない場合の通知期限です。
例えば、契約期間の満了日が2028年3月31日で、更新しない場合の通知期限を2028年2月29日までと定めていたとします。
この場合、定められた期限までに必要な通知を行わなければ、契約条項に従って自動更新される可能性があります。
契約を終了するつもりでいたにもかかわらず、通知期限を過ぎてしまったという事態は避けたいものです。
そのため、通知期限を決める際には、当事者双方が契約の継続について検討できるだけの期間を確保することが大切です。
また、「期間満了日の1か月前まで」という表現については、具体的にいつが期限になるのかを確認しておきましょう。
契約書に通知期限の年月日を明記することも、期限に関する認識の違いを防ぐ方法の一つです。
2.更新後の契約期間
自動更新条項を設ける場合には、更新後の契約期間も明確にしておきましょう。
例えば、最初の契約期間が1年間であっても、更新後の期間を必ず1年間にしなければならないわけではありません。
当事者間の合意によって、更新後の期間を6か月とすることも考えられます。
また、更新の回数に制限を設けるかどうかも検討事項です。
自動更新を繰り返す予定であれば、その旨を契約書に記載しておくことで、更新後の取扱いを明確にできます。
3.更新後の契約条件
自動更新によって契約を継続する場合、報酬や業務内容などの条件をどうするのかも重要です。
例えば、契約締結時には適切だった報酬額でも、人件費や材料費などの変化によって見直しが必要になる場合があります。
「同一条件で更新する」と定めている場合、基本的には従前の契約条件を引き継ぐことが想定されます。
そのため、報酬額や業務内容を変更したいときに、どのような手続きを行うのかを決めておくとよいでしょう。
条件変更について当事者間で協議する仕組みを設ける方法もありますが、協議条項があるだけで、一方の当事者が自由に契約条件を変更できるわけではありません。
契約期間の更新と契約条件の変更は、区別して考える必要があります。
4.更新しない場合の通知方法
通知期限だけでなく、通知方法についても確認しておきましょう。
例えば、契約を更新しない旨の通知について、書面による方法を指定することも考えられます。
電子メールによる通知を認めるのであれば、通知先のメールアドレスなどを明確にしておくことも一つの方法です。
さらに、通知を発送した時点と、相手方に到達した時点のどちらを基準にするかも重要です。
民法第97条第1項では、意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生ずるとされています。
そのため、更新拒絶の通知についても、契約条項や適用される法律を確認し、期限までに必要な通知が相手方に到達するよう注意する必要があります。
通知したことや通知の内容を後から確認できる方法を選んでおくと、認識の違いを防ぐことにもつながります。
自動更新された契約は途中で解約できる?
自動更新条項を設ける際には、契約期間中の解約についても考えておく必要があります。
例えば、1年間の契約が自動更新された後、数か月で契約を終了したくなる場合もあるでしょう。
しかし、自動更新された契約だからといって、必ず自由に中途解約できるわけではありません。
解約できるかどうかは、契約の種類、契約条項、適用される法律などによって異なります。
例えば、民法第651条第1項では、委任契約について、各当事者がいつでも解除できると定めています。
ただし、同条第2項では、相手方に不利な時期に委任を解除した場合や、委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除した場合には、損害賠償義務が生じることがあるとされています。
なお、ここでいう受任者の利益には、専ら報酬を得ることによるものは含まれません。また、やむを得ない事由がある場合には、同項に基づく損害賠償義務は生じません。
法律行為ではない事務の委託についても、民法第656条によって委任の規定が準用されます。
一方、仕事の完成を目的とする請負契約については、民法第641条に、仕事が完成する前の注文者による解除についての規定があります。
このように、同じ業務委託契約という名称であっても、契約の実質的な内容によって適用される法律が異なることがあります。
契約期間を定める際には、中途解約の可否、解約の通知時期、終了時の報酬や費用の取扱いなども併せて検討することが大切です。
契約期間が終了したら、すべての義務がなくなる?
契約期間が満了した場合でも、契約に関するすべての義務が当然になくなるとは限りません。
例えば、契約期間中に発生した未払報酬がある場合、契約期間が終了したという理由だけで、その支払義務が当然に消滅するわけではありません。
また、秘密保持義務などについて、契約終了後も一定期間存続させることを定める場合があります。
業務の過程で取引先の顧客情報や営業上の情報を取り扱うのであれば、契約終了後の情報管理についても検討する必要があるでしょう。
ただし、どのような義務を契約終了後も存続させるかは、契約の内容や適用される法律に応じて判断する必要があります。
契約期間を決める際には、契約の終了日だけでなく、終了後に必要となる手続きや義務についても確認しておくことが重要です。
自動更新条項を入れれば必ず有効になる?
契約書に自動更新条項を記載していても、その内容が常に有効になるとは限りません。
特に、事業者と消費者との間で締結する契約では、消費者契約法の適用が問題となる場合があります。
消費者契約法第10条では、消費者が何もしなかったことをもって、新たな消費者契約の申込みや承諾の意思表示をしたものとみなす条項などについて、一定の要件を満たす場合には無効になると定められています。
具体的には、法令の任意規定が適用される場合などと比較して消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、民法第1条第2項の信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものが無効とされます。
ただし、自動更新条項があるという理由だけで、直ちに無効になるわけではありません。また、既存の契約を更新する仕組みが、必ずしも同条に例示された新たな消費者契約の申込みや承諾をみなす条項に当たるわけでもありません。
契約の内容や更新の仕組みなどを踏まえ、個別に判断する必要があります。
また、賃貸借契約など、特別法の規律がある契約では、その法律の内容も確認しなければなりません。
一般的な契約書のひな形に自動更新条項が記載されていても、契約の種類に応じて内容を検討することが大切です。
契約書の作成はおばた行政書士事務所へ
契約書の契約期間は、単に1年間や6か月間と記載すればよいものではありません。
取引の内容や継続する予定の期間によって、適切な定め方は異なります。
また、自動更新条項を設ける場合には、更新拒絶の通知期限や更新後の契約条件、中途解約の取扱いなども検討しておく必要があります。
おばた行政書士事務所では、業務委託契約書をはじめ、各種契約書の作成に対応しています。
「契約期間をどのように設定すればよいか分からない」「自動更新条項を設けたいけれど、どのような内容にすればよいか迷っている」という方は、お気軽にご相談ください。
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