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お金を貸すときは借用書だけでいい?金銭消費貸借契約書との違い【静岡県の行政書士が解説】

「知人にお金を貸すことになったけれど、借用書を書いてもらえば大丈夫?」「まとまったお金を貸すので、きちんと書面を残しておきたい」

お金を貸す際、このように考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

調べてみると、「借用書」と「金銭消費貸借契約書」という2つの書類が出てきます。

どちらもお金の貸し借りに関する書類ですが、何が違うのでしょうか?

また、借用書だけでは法的な効力がないのではないかと心配される方もいらっしゃるかもしれません。

結論からいうと、借用書であっても、記載内容によってはお金の貸し借りを証明する書面になります。ただし、貸付条件によっては、金銭消費貸借契約書として詳しく取り決めた方がよい場合もあります。

今回は、借用書と金銭消費貸借契約書の違いや、それぞれを作成する際に確認しておきたいポイントについて解説します。

 

借用書と金銭消費貸借契約書の違いとは?

借用書は、一般的にお金を借りた人が作成し、貸した人に差し入れる書類です。

例えば、知人から30万円を借りた場合、「30万円を借り受けました。○年○月○日までに返済します」といった内容を記載します。

借主が金銭を受け取った事実と返済の約束を明らかにすることが、主な目的です。

一方、金銭消費貸借契約書は、貸主と借主が合意した貸付条件を記載し、双方で取り交わす形式が一般的です。

借りた金額だけでなく、返済方法や利息、返済が遅れた場合の取り扱いなどを詳しく定めることができます。

それぞれの違いを整理すると、次のようになります。

比較項目 借用書 金銭消費貸借契約書
一般的な作成形式 借主が作成して貸主に渡す 貸主と借主の双方で取り交わす
主な目的 借りた事実や返済の約束を記録する 貸付条件について双方の合意を記録する
記載内容 借入金額、返済期限など 貸付金額、返済方法、利息、その他の条件など
署名する人 借主のみの場合が多い 貸主と借主の双方が一般的

ただし、これは一般的な使い分けであり、法律上の決まりではありません。

民法では、借用書と金銭消費貸借契約書について、表題によって法的効力が異なるという規定は設けられていません。

そのため、借用書という名前であっても、貸主と借主の合意内容が明確に記載されていれば、金銭消費貸借契約の内容を証明する資料となり得ます。

反対に、金銭消費貸借契約書という表題であっても、内容が不明確であれば、後から解釈が問題になる可能性があります。

重要なのは書類の名称ではなく、実際に何を約束し、どのような内容が記録されているかという点です。

 

お金を渡す前と渡した後では取り扱いが異なる

借用書や金銭消費貸借契約書を作成する際に確認しておきたいのが、お金を渡すタイミングです。

民法第587条では、消費貸借について、借主が同じ種類・品質・数量のものを返還することを約束し、貸主から金銭などを受け取ることによって効力が生じると定められています。

例えば、知人に50万円を貸し、借主がその50万円を受け取って返済を約束した場合には、同条による金銭消費貸借の効力が生じます。

この場合、借用書には、すでに50万円を受け取ったことが分かる内容を記載することが考えられます。

一方、まだお金を渡していない場合には、民法第587条の2が関係します。

同条では、書面による消費貸借について、貸主が金銭を引き渡すことを約束し、借主が返還することを約束すれば、金銭の交付前でも契約の効力が生じるとされています。

ただし、借主はお金を受け取るまで契約を解除することができ、その解除によって貸主に損害が生じた場合には、損害賠償の問題が生じることがあります。

つまり、すでにお金を貸したことを記録する場合と、これからお金を貸す約束を書面にする場合では、法律上の取り扱いが異なります。

書類を作成するときには、実際の金銭の受け渡し状況に合った内容にする必要があります。

 

借用書だけでもよいのはどのような場合?

借用書だけで対応できるかどうかは、貸し借りの内容によって異なります。

例えば、友人に10万円を貸し、3か月後に全額を一括返済してもらうとします。

利息は付けず、返済日も決まっているのであれば、借主が金銭を受け取った事実と返済の約束を記載した借用書を作成する方法があります。

この場合、確認しておきたいのは、誰が誰から、いつ、いくら借りて、いつまでに返すのかという点です。

ただし、「10万円を借りました」という一文だけでは、返済期限や返済方法が分かりません。

また、日付の記載がなければ、いつ金銭を受け取ったのかが不明確になる可能性もあります。

借用書を作成する場合でも、必要な事項を省略しないことが大切です。

なお、貸付けの事実を記載した借用書があっても、それだけで実際に金銭が交付されたことについて、あらゆる場合に争いがなくなるわけではありません。

銀行振込でお金を渡すのであれば、振込記録も保管しておくとよいでしょう。

現金で渡す場合には、金銭を受領した日付や金額を明確にしておくことが考えられます。

 

金銭消費貸借契約書を作成した方がよい場合

一方、返済条件が複雑になる場合には、金銭消費貸借契約書として内容を整理する方法が考えられます。

例えば、知人に120万円を貸し、毎月5万円ずつ24回に分けて返済してもらう場合です。

この場合、毎月の返済日や返済方法に加え、返済が途中で滞った場合の取り扱いについても確認しておく必要があります。

特に分割返済では、期限の利益に関する取り決めが重要になることがあります。

期限の利益とは、簡単にいえば、決められた期限までは返済しなくてもよいという借主の利益です。

例えば、毎月5万円ずつ返済する約束であれば、原則として、まだ返済期限が到来していない分まで直ちに返す必要はありません。

ただし、民法第137条では、一定の場合に債務者が期限の利益を主張できなくなることが定められています。

また、契約によって、一定の条件に該当した場合には期限の利益を失う旨を定めることもあります。

こうした条件を設ける場合には、貸主と借主の双方が内容を確認し、合意しておくことが大切です。

なお、これらの取り決めは、必ず金銭消費貸借契約書という表題の書類に記載しなければならないものではありません。

借用書にも記載できますが、取り決める事項が多い場合には、双方で合意内容を確認できる形式にする方が整理しやすくなります。

 

返済期限を決めなかった借用書でも有効?

借用書に返済期限を書かなかった場合、その書類は無効になるのでしょうか?

返済期限の記載がないという理由だけで、当然に金銭消費貸借契約が無効になるわけではありません。

民法第591条第1項では、返還の時期を定めなかった場合、貸主は相当の期間を定めて返還を催告することができるとされています。

そのため、返済期限を決めていなかった場合でも、貸主が返還を求めることは可能です。

また、同条第2項では、借主は返還時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還できるとされています。

ただし、返済期限を定めていた場合に、期限前の返済によって貸主に損害が生じたときには、同条第3項により損害賠償を請求できる場合があります。

こうした法律上の規定はありますが、返済期限を具体的に決めておけば、貸主と借主が返済時期を確認しやすくなります。

「余裕ができたら返す」「なるべく早く返す」といった曖昧な表現ではなく、双方が合意できる返済日を定めておくことを検討しましょう。

 

利息や遅延損害金を記載するときの注意点

お金を貸す際、利息を付ける場合もあれば、無利息で貸す場合もあるでしょう。

民法第589条第1項では、特約がなければ、貸主は借主に対して利息を請求できないと定められています。

そのため、利息を受け取るのであれば、当事者間で利息について合意しておく必要があります。

ただし、利息は自由にいくらでも設定できるわけではありません。

利息制限法第1条では、貸付元本に応じて次の上限利率が定められています。

貸付元本 上限利率
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

この上限を超える利息の約束は、超過部分が無効となります。

また、返済が遅れた場合の遅延損害金についても、法律上の制限があります。

一般的な金銭消費貸借では、遅延損害金の予定額について、利息制限法第4条により、同法第1条の上限利率の1.46倍までという制限が設けられています。

一方、貸付けを営業として行う「営業的金銭消費貸借」については、同法第7条により、年20%を超える部分が無効となります。

なお、利息と遅延損害金は性質が異なります。利息はお金を借りていることの対価であり、遅延損害金は返済が遅れたことによる損害の賠償です。

借用書であっても金銭消費貸借契約書であっても、これらの違いや法律上の制限を踏まえて内容を定める必要があります。

 

借用書には借主の署名だけでいい?

借用書は、借主が署名して貸主に渡す形式で作成されることがあります。

では、貸主の署名がなければ、借用書に法的な意味はないのでしょうか?

借主の署名しかないという理由だけで、当然に無効になるわけではありません。

借主が作成した借用書は、その記載内容によって、金銭を借り受けたことや返済を約束したことを示す証拠になり得ます。

一方、貸主と借主の双方で契約条件を確認するのであれば、双方が署名する契約書の形式も考えられます。

なお、民事訴訟法第228条第4項では、私文書について、本人またはその代理人の署名もしくは押印があるときは、真正に成立したものと推定すると定められています。

ただし、これは書面に記載された内容がすべて真実であると推定する規定ではありません。

そのため、署名や押印の有無だけでなく、実際の金銭の受け渡しや合意内容を確認できるようにしておくことも重要です。

 

これからお金を貸すなら、どちらを作成するべき?

例えば、次のような2つのケースを考えてみましょう。

ケース1:すでに知人へ20万円を貸しており、半年後に一括返済してもらう場合

すでにお金を渡しており、借主も借入金額や返済条件について認めている場合には、その内容を記載した借用書を作成する方法があります。

ケース2:これから知人へ200万円を貸し、3年間で分割返済してもらう場合

金銭を渡す前に貸付条件を整理し、毎月の返済金額、返済日、利息の有無などを双方で確認する必要があります。

このような場合には、金銭消費貸借契約書として詳細な条件を定める方法が考えられます。

もちろん、金額だけでどちらの書類を作成するべきかが決まるわけではありません。

少額であっても返済条件が複雑なこともありますし、高額であっても一括返済を予定している場合があります。

大切なのは、貸付金額だけで判断するのではなく、金銭の交付状況や返済条件に合わせて書類の内容を検討することです。

 

お金の貸し借りは、書面で内容を明確に

借用書と金銭消費貸借契約書は、書類の名称だけで法的な効力が決まるものではありません。

大切なのは、貸主と借主がどのような条件で合意したのかを、明確にしておくことです。

特に、親しい間柄でのお金の貸し借りでは、口頭での約束だけで済ませてしまうこともあるかもしれません。しかし、お互いの認識に違いが生じないよう、返済期限や返済方法などを確認しておきたいところです。

 

おばた行政書士事務所では、当事者間で合意した内容に基づき、借用書や金銭消費貸借契約書の作成を承っています。

これからお金を貸す予定がある方や、双方で合意した内容を書面に残しておきたい方は、お気軽にお問い合わせください。

なお、返済をめぐる紛争が生じている場合や、相手方との交渉、債権回収などについては対応しておりません。

 

契約書の作成に関するご相談は、静岡県東部のおばた行政書士事務所までお問い合わせください。

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参考法令

  • 民法:第137条、第587条、第587条の2、第589条、第591条
  • 民事訴訟法:第228条
  • 利息制限法:第1条、第4条、第7条
  • 行政書士法:第1条の3

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