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10.282026
フリーランスに仕事を依頼するとき、契約書は必要?【静岡県の行政書士が解説】

「知り合いのフリーランスに仕事をお願いしたいけれど、わざわざ契約書まで作る必要があるの?」
「仕事内容や報酬はメールで伝えているから、それで十分じゃない?」
フリーランスに仕事を依頼する際、このように考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、以前から付き合いのある相手や、単発の仕事をお願いする場合には、契約書を作成するほどではないと思うかもしれません。
ところが、フリーランスへの仕事の依頼には、法律で定められたルールがあることをご存じでしょうか?
実は、2024年11月に施行された「フリーランス法」によって、仕事を依頼する側にも取引条件を明示する義務が定められています。
では、契約書を作成しなければ法律違反になってしまうのでしょうか?
今回は、フリーランスに仕事を依頼する際の契約書の必要性や、発注する側が知っておきたい法律上の注意点について解説します。
フリーランスへの業務委託には新しい法律が適用される
2024年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行されました。
一般的には「フリーランス法」と呼ばれている法律です。
この法律は、フリーランスと発注事業者との取引の適正化や、フリーランスの就業環境の整備を目的としています。
法律上の対象となるフリーランスは、単に個人で仕事をしている人すべてというわけではありません。
法律第2条では、業務委託の相手方となる事業者のうち、従業員を使用しない個人や、代表者以外に役員がおらず従業員を使用しない法人などを「特定受託事業者」と定めています。
そのため、法人化しているフリーランスであっても、法律の対象となる場合があります。
また、発注事業者が個人事業主である場合も、法律の適用対象となることがあります。
例えば、個人でデザイン業を営んでいる方が、別のフリーランスにイラスト制作を依頼する場合などです。
一方、一般の消費者が個人的な目的で仕事を依頼する場合など、法律の対象とならない取引もあります。
まずは、依頼する相手と取引内容がフリーランス法の対象に該当するかを確認することが大切です。
契約書がなくても取引条件の明示は必要
フリーランス法第3条では、対象となる業務委託を行った場合、発注事業者は直ちに取引条件を明示しなければならないと定められています。
明示方法は、書面または電磁的方法です。
電磁的方法には、電子メールやSNSのメッセージ、チャットツールなどが含まれます。
そのため、法律上必要な事項を適切に明示していれば、必ずしも紙の契約書を作成する必要はありません。
ただし、電話や打ち合わせの際に口頭で伝えるだけでは、法律上の明示義務を果たしたことにはなりません。
また、フリーランス本人が「契約書はいりません」と了承していた場合でも、発注事業者の明示義務がなくなるわけではありません。
では、具体的にどのような事項を明示する必要があるのでしょうか。
フリーランス法及び関係規則では、次の事項が定められています。
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取引の内容に応じて、これらの事項を明示する必要があります。
なお、発注時点で決められない事項については、正当な理由がある場合に限り、未定である理由や決定予定日を明示し、内容が決まり次第、直ちに補充して明示する必要があります。
したがって、単に「ホームページ制作一式」「報酬は後日相談」と伝えるだけでは、法律上の明示事項を満たさない可能性があります。
また、電子メールなどで条件を明示した場合でも、フリーランスから書面の交付を求められたときは、法令で定める例外を除き、遅滞なく書面を交付する必要があります。
報酬の支払期日にも法律上のルールがある
フリーランスへの仕事の依頼では、報酬の支払時期にも注意が必要です。
フリーランス法第4条では、従業員を使用する発注事業者など、法律上の「特定業務委託事業者」に対して、原則として給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に、報酬の支払期日を定めることが義務付けられています。
また、定めた支払期日までに報酬を支払わなければなりません。
役務の提供を委託する場合には、原則として役務の提供を受けた日が基準となります。
例えば、制作物が納品されたにもかかわらず、発注事業者が一方的に報酬の支払いを長期間先延ばしにすることは、法律上問題となる場合があります。
また、請求書が届いていないことだけを理由に、法律上の支払期日を過ぎてよいわけではありません。
なお、一定の要件を満たす再委託については、元委託業務の対価の支払期日を基準とする特例が設けられています。
ここで注意したいのは、60日以内の支払期日に関する規制が、すべての発注事業者に一律に適用されるわけではないという点です。
従業員を使用しない個人事業主などが発注する場合には、フリーランス法第4条の支払期日規制の対象とならないことがあります。
ただし、その場合でも、民法その他の適用法令や当事者間の契約に従って報酬を支払う必要があります。
発注する際には、自分がどのような義務を負う事業者に該当するのかを確認しておきましょう。
仕事の追加や修正を依頼するときの注意点
フリーランスに仕事を依頼した後、当初の予定とは異なる作業が必要になる場合もあります。
例えば、ホームページの制作を依頼したものの、途中で掲載ページを追加したくなったり、デザインを大幅に変更したくなったりすることもあるでしょう。
このような場合に注意したいのが、業務内容の変更と追加報酬の取扱いです。
フリーランス法第5条では、特定業務委託事業者がフリーランスに対して1か月以上の業務委託を行う場合、一定の行為が禁止されています。
具体的には、正当な理由のない受領拒否、フリーランスに責任がない場合の報酬の減額、不当な給付内容の変更ややり直しなどです。
例えば、フリーランスに責任がないにもかかわらず、発注事業者の都合で作業内容を変更し、そのために必要となる費用を負担させる行為は、法律上問題となる場合があります。
もちろん、仕事の内容を変更すること自体が、すべて禁止されているわけではありません。
ただし、変更によって作業量や費用が増える場合には、追加報酬の有無や納期についても、当事者間で確認しておくことが重要です。
契約書を作成する際には、最初に依頼する業務だけでなく、後から変更が生じた場合にどのように対応するのかも定めておくとよいでしょう。
成果物の著作権は誰のものになる?
フリーランスにデザインや文章、写真などの制作を依頼する場合には、著作権についても考えておく必要があります。
例えば、会社のロゴやホームページ用のイラストをフリーランスに制作してもらった場合です。
「制作費を支払ったのだから、著作権も当然に発注者のものになる」と思われるかもしれません。
しかし、著作権法上、制作を依頼して報酬を支払ったという事実だけで、著作権が当然に発注者へ移転するわけではありません。
原則として、著作権は著作物を創作した著作者に帰属します。
そのため、発注者が成果物をどのような範囲で使用できるのか、著作権を譲り受けるのかなどについて、契約で明確にしておくことが重要です。
また、著作権を譲渡する場合には、著作権法第27条及び第28条に規定する権利の取扱いにも注意が必要です。
著作権法第61条第2項では、これらの権利が譲渡の目的として特掲されていない場合、譲渡した者に留保されたものと推定すると定められています。
さらに、著作者人格権は譲渡することができません。
そのため、制作物の改変や利用方法についても、必要に応じて契約内容を検討することになります。
特に、制作したロゴを商品に使用する場合や、イラストを広告などに利用する場合には、利用目的に合った契約内容となっているか確認しておきたいところです。
長期間の業務委託では契約終了時にも注意
フリーランスへの依頼が継続的なものになる場合には、契約期間や終了時の取扱いにも注意が必要です。
フリーランス法第16条では、特定業務委託事業者が6か月以上の期間にわたって行う継続的業務委託について、契約を中途解除したり、期間満了後に更新しなかったりする場合、原則として少なくとも30日前までに予告しなければならないと定められています。
この6か月以上という期間には、契約の更新によって継続期間が6か月以上となる場合も含まれます。
例えば、当初は3か月の契約であっても、更新を繰り返して継続的な業務委託が6か月以上となる場合には、法律上の予告義務の対象となることがあります。
また、対象となるフリーランスから解除や不更新の理由について開示を求められた場合には、法律の定めに従って対応する必要があります。
ただし、災害その他のやむを得ない事由がある場合など、法令で定められた例外も設けられています。
ここで注意したいのが、契約書に「いつでも解除できる」と記載しておけば、法律上の義務がなくなるわけではないという点です。
契約書を作成する場合には、契約期間や更新方法だけでなく、解除する場合の手続きについても、適用される法律との整合性を確認する必要があります。
フリーランスへの依頼でも実態によっては雇用に該当する場合がある
フリーランスとの契約を検討する際、もう一つ注意しておきたいのが、業務委託と雇用の違いです。
民法第623条は雇用について、第632条は請負について、第643条及び第656条は委任・準委任について規定しています。
ただし、契約書に「業務委託契約」と記載していても、それだけで労働関係法令上の労働者に該当しないと判断されるわけではありません。
実際の働き方や指揮監督関係などを踏まえて判断されることになります。
例えば、仕事の進め方や勤務時間について発注者が細かく指示している場合などには、契約の名称だけでなく、実際の業務の進め方も確認する必要があります。
フリーランスとして依頼する予定であっても、実態が雇用に該当する場合には、労働関係法令の適用が問題となる可能性があります。
フリーランスとの契約書はどのように作成すればよい?
フリーランス法では取引条件の明示が義務付けられていますが、法律上必要な事項を伝えることと、取引全体のルールを定めておくことは、必ずしも同じではありません。
例えば、毎月継続して仕事を依頼する場合には、共通する取引条件を基本契約書に定め、個別の仕事内容や報酬などを発注書で明示する方法も考えられます。
ただし、基本契約書を作成しているからといって、個別の発注時に必要な取引条件の明示を省略できるわけではありません。
基本契約書と個別の発注書を組み合わせる場合には、両方の記載内容によって、必要な明示事項が適切に示されているか確認する必要があります。
また、デザイン制作や記事執筆など、成果物が発生する仕事では著作権の取扱い、継続的な業務では契約期間や解除の条件など、仕事の性質によって検討すべき内容も異なります。
インターネット上で公開されている契約書のひな形を使用する場合も、その内容が自社の取引形態や実際の業務内容に合っているとは限りません。
フリーランス法の適用関係を確認したうえで、必要な条項を検討することが大切です。
まとめ|フリーランスに仕事を依頼する際は取引条件を明確に
フリーランスに仕事を依頼する場合、必ずしも契約書という名称の書面を作成する必要はありません。
しかし、フリーランス法の対象となる業務委託では、発注事業者に取引条件の明示が義務付けられています。
さらに、発注事業者の要件や業務委託の期間などによっては、報酬の支払い、禁止行為、契約終了時の予告などについても、法律上のルールが適用されます。
仕事の内容によっては、著作権の帰属や成果物の利用範囲などについても契約で定めておくことが重要です。
フリーランスへの依頼を検討している方は、発注前に取引条件を整理し、業務内容に合った契約書を作成しておくことをおすすめします。
契約書作成はおばた行政書士事務所へ
おばた行政書士事務所では、フリーランスへの業務委託契約書をはじめ、事業者間の契約書作成に関するご相談を承っております。
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