ちょっと役立つコラム
9.212023
遺留分とは何か
遺留分とは一体何でしょうか?ここでは遺留分について簡単に解説します。
遺言によって法定相続分とは違う割合で相続人に相続させたり、相続人以外の者に遺贈したりすることができます。しかし、兄弟姉妹以外の法律で定められている相続人には、遺言の内容にかかわらず最低限相続できる権利(遺留分)が認められています。(民法1412条)
兄弟姉妹以外の法律で定められている相続人は、遺留分を侵害している者に対する請求(遺留分侵害額請求)することによってそれぞれの割合に応じた金銭を確保することができます。
例えば…亡き父の遺言書で長男とは仲が悪かったため「遺産はすべて妻と次男へ相続させる」という遺言書があった場合でも、長男は定められた割合で金銭を請求することができるわけです。
遺留分の割合
相続人 | 遺留分全体の割合 | 各相続人の遺留分割合 | |
配偶者 | その他の相続人 | ||
配偶者のみ | 2分の1 | 2分の1 | |
配偶者と子 | 4分の1 | 4分の1を人数で等分 | |
配偶者と親 | 3分の1 | 6分の1を人数で等分 | |
配偶者と兄弟姉妹 | 2分の1 | なし | |
子のみ | 2分の1を人数で等分 | ||
直系尊属のみ | 3分の1 | 3分の1 | |
兄弟姉妹のみ | なし | なし |
遺留分侵害額請求は、相続開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈のあったことを知ったときから1年を経過するか、相続開始のときから10年経過したときは行うことができなくなるので注意が必要です。
また遺留分を請求する権利は放棄することもできます。故人の遺言や贈与について理解し、故人の想いを尊重するのであれば、行使する必要はありません。この遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を得たときに限り、相続開始前(生きているとき)に行うこともできます。
以上のことを踏まえると、遺言書を書いた場合、遺留分を侵害しないように書くことが必要です。
また、兄弟姉妹には法定相続人になることはあっても遺留分がありません。もし、子のいない夫婦の場合、遺言書に「配偶者へすべて相続させる」(親がいないとき)と書いておけば希望通り配偶者に相続させることができます。
遺言書はこのようなツールとして使用することができるのです。
おばた行政書士事務所へお気軽にお問い合わせください。