ちょっと役立つコラム
10.22026
遺言書の作成は行政書士に依頼できる?依頼できること・できないこと【静岡県の行政書士が解説】

「遺言書を作っておいた方がいいと思うけれど、何を書けばいいのかわからない」
「自分で書いて、内容や形式を間違えたらどうしよう」
「遺言書の作成は行政書士に相談できるの?」
遺言書を作ろうと思ったとき、このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
遺言書には法律で決められた方式があります。そのため、「誰に何を残したいか」が決まっていても、それをどのように遺言書に記載すればよいのか迷うことがあります。
行政書士は、その業務範囲内で、遺言書の文案作成や、遺言書に記載する内容を整理するための相談に対応することができます。
ただし、行政書士が遺言に関するすべての手続きを行えるわけではありません。すでに紛争になっている場合や、不動産の相続登記など、行政書士では対応できない業務もあります。
この記事では、遺言書の作成について行政書士に依頼できること・できないことを、法律に基づいてわかりやすく解説します。
遺言書の文案作成は行政書士に相談できる
行政書士法第1条の3第1項では、行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類のほか、「権利義務又は事実証明に関する書類」を作成することを業務とすると定められています。
また、行政書士法第1条の4第1項第4号では、第1条の3の規定により行政書士が作成することができる書類について、作成の相談に応じることも行政書士の業務とされています。
一方、行政書士法第1条の3第2項では、書類作成であっても、他の法律によってその業務が制限されているものについては、行政書士は業務を行うことができないとされています。
そのため行政書士は、業務範囲内で、本人の希望を聞き取りながら遺言書に記載したい内容を整理したり、遺言書の文案を作成したりすることができます。
たとえば…
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といった希望を確認しながら、遺言書の内容を整理していきます。
「行政書士に遺言書を作ってもらう」という場合でも、行政書士が本人に代わって遺言をするわけではありません。
遺言するのは、あくまで遺言者本人です。
行政書士は、その本人の意思を確認しながら、遺言書の文案作成などをサポートします。
遺言書には法律で決められた方式がある
遺言書は、自分の希望を紙に書いておけば、必ず遺言として効力が認められるというものではありません。
民法第960条では、遺言は民法に定める方式に従わなければすることができないと定められています。
また、民法第967条では、普通方式による遺言として
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が定められています。
そのため遺言書を作るときには、「何を書きたいか」だけでなく、どの方式で遺言をするのか、その方式に必要な要件を満たしているのかを確認する必要があります。
遺言書を自分で作成することは可能ですが、法律上の方式に不安がある場合や、自分の希望をどのような文章にすればよいかわからない場合には、文案を作成する段階から相談する方法があります。
自筆証書遺言は本人が自書する必要がある
自筆証書遺言について、行政書士に文案の作成を依頼することはできます。
ただし、行政書士が本人の代わりに遺言本文を手書きすることはできません。
民法第968条第1項では、自筆証書によって遺言する場合、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、押印しなければならないと定められています。
そのため、たとえば行政書士が本人から希望を聞いてパソコンで文案を作り、その文案を確認したうえで、遺言者本人が最終的な遺言本文を自書するという方法が考えられます。
行政書士が本文を代筆して、本人が最後に署名・押印するだけでは、自筆証書遺言の方式を満たしません。
「行政書士に遺言書作成を依頼する」というのは、本人に代わって遺言そのものをしてもらうという意味ではなく、本人の意思を遺言書の文案として整理してもらうことだと考えるとわかりやすいでしょう。
財産目録は自書しなくてもよい
自筆証書遺言には、財産目録について例外があります。
民法第968条第2項では、自筆証書に一体のものとして相続財産の全部または一部の目録を添付する場合、その目録については自書する必要がないと定められています。
そのため、財産目録については、遺言本文とは異なり、パソコン等を利用して作成することもできます。
ただし、自書によらない財産目録を添付する場合には、遺言者がその目録の毎葉に署名し、押印しなければなりません。また、自書によらない記載が両面にある場合には、その両面への署名・押印が必要です。
自筆証書遺言を作る場合、「本文はどのように書くのか」「財産目録を付けるのか」「財産をどのように整理するのか」など、実際に作り始めてから迷うこともあります。
行政書士に相談することで、本人の希望や財産の内容を確認しながら、遺言書に記載する内容を整理していくことができます。
公正証書遺言についても行政書士に相談できる
「自分で全文を書く自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言にしたい」という方もいるでしょう。
この場合も、遺言内容の整理や文案作成について行政書士へ相談することができます。
ただし、公正証書遺言そのものを作成するのは行政書士ではなく、公証人です。
民法第969条では、公正証書によって遺言をする場合の方式が定められており、証人2人以上の立会い、公証人の関与などが必要とされています。
そのため行政書士へ相談する場合には、公正証書遺言を作成する前の段階で、
「誰にどの財産を残したいのか」
「どのような内容を公正証書遺言に盛り込みたいのか」
といった本人の希望を整理し、文案作成などを行っていくことになります。
最終的な公正証書遺言は、公証人が法律上の方式に従って作成します。
遺言書に書きたい内容がまだ整理できていない場合は?
遺言書を作ろうと思っても、最初から文章まで完成している方ばかりではありません。
たとえば
「残したい財産がいくつかある」
「特定の人に財産を残したいと考えている」
「自分の財産を一度整理してから遺言書を作りたい」
など、遺言書に残したい希望はあるものの、まだ文章としてまとまっていないこともあります。
行政書士に遺言書の文案作成を依頼する場合には、ご本人がどのような内容を遺言書に残したいと考えているのかを確認し、その意思に基づいて文案を作成していきます。
そのため、相談する前にご自身で遺言書の文章を完成させておく必要はありません。
「誰にどの財産を残したいのか」など、ご本人の希望を伺いながら、遺言書の文案として形にしていくことができます。
こんな場合に遺言書の文案作成を相談できます
遺言書を作ろうと思っても、自分で文章にするのが難しいことがあります。
たとえば
| 「特定の人に特定の財産を残したいと考えている」
「相続人ではない人に財産を残したいという希望がある」 「遺言書に残したい内容は決まっているが、どのような文章にすればよいかわからない」 「自筆証書遺言の文案を作成してほしい」 「公正証書遺言に記載したい内容を文案として整理してほしい」 |
といった場合には、行政書士へ遺言書の文案作成を相談することができます。
行政書士に依頼する場合には、ご本人がどのような内容を遺言書に残したいと考えているのかを確認し、その意思に基づいて文案を作成します。
そのため、相談する前に遺言書の文章まで完成させておく必要はありません。
ご本人がすでに持っている希望や意思を確認しながら、それを遺言書の文案として形にしていきます。
すでに紛争がある場合には行政書士では対応できないことがある
遺言書に関することであっても、行政書士がすべての相談を取り扱えるわけではありません。
特に注意が必要なのが、親族などとの間ですでに紛争が生じている場合です。
弁護士法第72条では、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、一般の法律事件について鑑定、代理、仲裁、和解その他の法律事務を取り扱うことなどを原則として禁止しています。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は除かれます。
そのため、すでに相続や財産について相手方との争いが生じており、相手方との交渉や紛争解決が必要となっているケースについては、行政書士では対応できない場合があります。
そのような場合には、弁護士への相談が必要になることがあります。
「遺言書について相談したい」という場合でも、現在どのような状況にあるのかによって、依頼すべき専門家が異なることがあります。
相続登記の申請代理は行政書士の業務ではない
遺言書の中に不動産について記載することと、遺言者が亡くなった後にその不動産について登記手続きを行うことは、別のものです。
司法書士法第3条第1項第1号では、「登記又は供託に関する手続について代理すること」が司法書士の業務として定められています。
さらに、司法書士法第73条第1項では、司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者は、他の法律に別段の定めがある場合を除き、同法第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行ってはならないとされています。
そのため、行政書士が遺言書の文案作成に関与した場合でも、行政書士として相続登記の申請代理を行うことはできません。
遺言書を作成する段階と、遺言者が亡くなった後に遺言内容を実現する段階とでは、必要になる手続きや専門家が異なる場合があります。
相続税や贈与税など税金に関する相談は税理士へ
遺言書を作成するときには、
「この財産を遺贈した場合、税金はいくらかかるのか」
「相続税がかからないようにするには、どのような内容にすればよいのか」
「生前に贈与する場合と、遺言で財産を残す場合では、どちらが税金の負担が少ないのか」
など、税金について気になることもあるかもしれません。
ただし、税金に関する具体的な計算や税務上の判断については、行政書士が税務相談としてお答えすることはできません。
税理士法第2条第1項第3号では、申告書等の作成などに関して、課税標準等の計算に関する事項について相談に応じる「税務相談」が税理士業務として定められています。
また、同法第52条では、税理士または税理士法人でない者は、法律に別段の定めがある場合を除き、税理士業務を行ってはならないとされています。
そのため、遺言書の作成に関連して相続税、贈与税その他の税金について具体的な判断や計算が必要になる場合には、税理士への相談が必要です。
行政書士への遺言書作成のご相談では、ご本人がどのような内容を遺言書に残したいと考えているのかを確認し、その意思に基づいて文案を作成します。
税金について確認が必要な場合には、遺言書の文案作成とは分けて考える必要があります。
自筆証書遺言を法務局で保管してもらう制度もある
自筆証書遺言については、法務局で遺言書を保管する制度があります。
「法務局における遺言書の保管等に関する法律」第4条では、遺言者は遺言書保管官に対して、遺言書の保管を申請することができると定められています。2026年10月1日時点でも、この規定が施行されています。
ただし、保管制度を利用する場合であっても、まず遺言書の内容を考え、法律上の方式に沿って作成する必要があります。
「自筆証書遺言にするのか」
「公正証書遺言にするのか」
「自筆証書遺言を作成して、法務局の保管制度を利用するのか」
など、遺言書を作るときには選択肢があります。
どの方法にするか決まっていない段階であっても、まず希望を整理していくことができます。
行政書士に依頼するメリットは希望を文案として形にできること
遺言書を作ろうと思っても、最初から文章まで完成している方ばかりではありません。
「この家はこの人に残したい」
「お世話になった人にも財産を残したい」
「自分が亡くなった後のことについて、書面で意思を残しておきたい」
このように、遺言書に残したい希望はあっても、それをどのような文章にすればよいのかわからないことがあります。
行政書士に遺言書の文案作成を依頼する場合には、ご本人がどのような内容を遺言書に残したいと考えているのかを確認し、その意思に基づいて文案を作成します。
ただし、ご本人の希望であれば、どのような内容でも遺言書の文案として作成できるわけではありません。
法令に反する内容や、公の秩序または善良の風俗に反する内容については対応できません。また、誰にどの財産を残すべきかといった判断、税金に関する具体的な相談、すでに紛争となっている事項など、行政書士の業務範囲を超える内容についても対応できない場合があります。
そのため、行政書士が行うのは、ご本人がすでに持っている意思や希望を確認し、行政書士として取り扱うことのできる範囲で遺言書の文案として形にすることです。
遺言書の文案作成を希望される方へ
「遺言書に残したい内容は決まっているけれど、どのような文章にすればよいかわからない」
「自筆証書遺言の文案を作成してほしい」
「公正証書遺言に記載したい内容を、文案としてまとめてほしい」
このような場合には、行政書士へ遺言書の文案作成を相談することができます。
おばた行政書士事務所では、ご本人が遺言書に残したいと考えている内容を確認し、法令上および行政書士の業務範囲内で対応可能な内容について、その意思に基づいて遺言書の文案を作成しています。
ご自身で遺言書の文章まで完成させてからご相談いただく必要はありません。
ご相談内容によっては、弁護士、司法書士、税理士など、他の専門家への相談が必要になる場合があります。また、法令に反する内容や公序良俗に反する内容については、文案作成をお受けすることはできません。
「自分が希望している内容は、行政書士に依頼できるものなのか確認したい」という場合も、お問い合わせください。
遺言書の文案作成をご希望の方は、お問い合わせフォームまたはLINEからご連絡ください。

※本記事は2026年10月1日時点の法令をもとに作成しています。個別の事情や相談内容によっては、行政書士では対応できず、弁護士、司法書士、税理士その他の専門家への相談が必要になる場合があります。











