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知的障害者福祉法について【静岡県の行政書士が解説】

今回は、知的障害者福祉法について解説します。

 

知的障害者福祉法に基づくサービスは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されています。

障害福祉サービスは、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられ、それぞれ、利用の際のプロセスが異なります。

また、障害福祉サービスには期限のあるものと、期限のないものがありますが、有期限であっても、必要に応じて支給決定の更新(延長)は一定程度、可能となります。

知的障害者福祉法の歴史

知的障害者福祉法の歴史について、以下のようなポイントがあります。

①1947年に児童福祉法が施行され、知的障害のある子どもの福祉が規定されました。

②1953年に精神薄弱児対策基本法が策定されましたが、この法律は知的障害のある人の隔離と保護を前提としており、問題点が多くありました。

③1960年に精神薄弱者福祉法(現在の知的障害者福祉法)が成立し、児童から成人までの一貫した支援を提供する事業が整備されました。

④2006年に知的障害者福祉法が改正され、知的障害のある人の自立と社会参加を促進することが目的とされました。

 

知的障害者福祉法、2006年の改正点

知的障害者福祉法は、2006年に改正され、以下のような点が変わりました。

①法律の目的として、知的障害者の自立と社会経済活動への参加の促進が追加されました。

②国や地方公共団体の責務として、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助が明記されました。

③知的障害者の希望やニーズに応じたサービスの提供や利用が促進されるように、障害福祉サービスや地域生活支援事業の内容や手続きが見直されました。

④知的障害者の権利や利益を保護するために、虐待防止や苦情処理の仕組みが整備されました。

⑤知的障害者の意思や意向を尊重するために、本人の代理人や後見人の役割や権限が明確化されました。

⑥知的障害者の生活や福祉の状況を把握するために、データベースの整備や調査研究の推進が行われました。

 

2013年に障害者の日常及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)が制定され、知的障害のある人に関するサービスや制度が移行されました

 

知的障害者福祉法に定義がない理由

知的障害者福祉法に定義がありません。それはなぜでしょうか。

知的障害者福祉法に定義がない理由は、以下のようなものが考えられます。

 

①知的障害の原因や程度は多様であり、一様な基準を設けることが困難であるため。

②知的障害の定義をすることで、サービスの対象から除外される人が出ることを避けるため。

③知的障害の判定は、医学的な診断だけでなく、心理学的な検査や社会的な状況も考慮する必要があるため。

 

知的障害者福祉法は、2006年に改正されましたが、定義の条項は設けられませんでした。現在も、各都道府県が独自に判定基準や手続きを定めています。しかし、障害者総合支援法や特別支援教育の制度化など、障害の一元化の流れの中で、知的障害の定義についても共通認識を明示する必要があるという意見もあるようです。

 

 

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