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ちょっと役立つコラム
2.12024
知的障害者福祉法について【静岡県の行政書士が解説】

障害福祉サービス事業の立ち上げを検討する際、関連する法律や制度の理解は欠かせません。
今回は、サービス提供の根拠法のひとつである知的障害者福祉法について、事業者の視点から押さえておくべきポイントを整理します。
知的障害者福祉法に基づく2つの支援制度
知的障害者福祉法に基づくサービスは、大きく次の2つに分類されます。
① 障害福祉サービス(個別支給決定)
障害のある方の障害程度や生活状況(介護者の有無、居住環境など)を考慮して、市町村が個別に支給決定を行う制度です。
介護の支援を受ける場合は「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」として位置づけられています。
支給決定には一定の手続きが必要で、サービス提供事業者としては指定を受けることが前提となります。
② 地域生活支援事業(市町村裁量の事業)
こちらは、各市町村が地域の実情に応じて柔軟に実施する支援です。
移動支援や日中一時支援、意思疎通支援などが含まれ、利用者ニーズに即したサービス設計が期待されます。
事業者として参入する場合、市町村との委託契約等が必要となるケースもあります。
知的障害者福祉法の沿革と制度の転換
障害福祉制度の変遷を理解しておくことは、今後の運営や制度対応の基礎にもなります。
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1947年:児童福祉法により、知的障害のある子どもへの支援が制度化
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1953年:精神薄弱児対策基本法(現在は廃止)
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1960年:精神薄弱者福祉法(現:知的障害者福祉法)制定
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2006年:大幅改正により、自立と社会参加の促進が明記される
2006年改正の主なポイント(事業者として押さえるべき視点)
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知的障害者の自立支援・社会経済活動への参加が法律目的に追加
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国・自治体の責務として、環境整備や支援体制構築が明記
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虐待防止や苦情対応など、事業者側に求められる対応水準が明確化
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後見制度との連携を前提とした意思決定支援の重要性の強調
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実態把握や調査研究の推進によるデータベース化の流れ
これらの改正は、事業運営における法令遵守・サービス品質管理に直結するポイントです。
障害者総合支援法との関係
2013年には「障害者総合支援法」が施行され、障害種別を問わず、日常生活・社会生活全般を支援する枠組みへと統合されました。
現在では、事業所の指定・運営は総合支援法の枠組みで行うのが基本です。ただし、知的障害者福祉法は今なお支援の理念や根拠法として重要な位置づけにあります。
なぜ「知的障害」の定義が法に明記されていないのか
知的障害者福祉法には、「知的障害とは何か」という明確な定義がありません。これは以下のような理由によるものです。
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知的障害の原因や程度が多様で、一律の基準を設けることが困難であるため
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定義を設けることで、支援の対象外となる人を生む可能性があるため
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医学的な診断だけでなく、心理的・社会的な側面も総合的に考慮する必要があるため
そのため、実際の判断は、各自治体の判定基準や運用方針に委ねられています。
この「定義がないこと」が事業者に与える影響
事業者の立場から見ると、知的障害の定義が法に明記されていないことは、次のような実務上の影響を及ぼします。
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都道府県や市町村によって、判定基準や運用方法が異なるため、事業所の所在地に応じた対応が求められる
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利用希望者の障害程度によって、サービス対象の可否や区分支給の範囲が変わるため、個別の確認が必要
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行政側の判断によって、受け入れ可能な利用者の範囲が左右される可能性がある
このように、「定義がない」ことは柔軟さの裏返しでもありますが、事業者にとっては事前の確認や調整がより重要になるということでもあります。
事業者として押さえておきたいポイント
障害福祉サービスを提供するには、以下のような対応が求められます。
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指定申請の手続きと準備書類の整備
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自治体ごとの運営基準や判断基準の把握
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利用者の意思決定支援体制や虐待防止体制の整備
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実地指導や報酬請求への対応
特に、初めて指定を受ける場合や、制度に不慣れな事業者様にとっては、制度の複雑さや自治体ごとの運用の違いに戸惑うことも少なくありません。
指定申請・事業運営に関するご相談を承っています
当事務所では、
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障害福祉サービス事業の新規指定申請
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運営に関する法的書類や手続きの支援
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自治体との事前協議・補助金関連のご相談対応
など、障害福祉分野での事業立ち上げ・運営をトータルでサポートしています。
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そのような方は、ぜひ一度ご相談ください。
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まとめ
知的障害者福祉法は、障害福祉サービスの理念や支援のあり方を示す大切な法律です。
事業者として制度を理解することは、より質の高いサービス提供と適切な運営の第一歩となります。
障害福祉事業を始めるにあたって、制度や手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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まずはお気軽にご連絡ください。