ちょっと役立つコラム
11.12023
遺産分割協議書を作りたいけどどうすれば良いか
家族が亡くなり遺言書を探してはみたものの遺言書がない場合、遺産分割協議書を作成しなければなりません。
遺産分割協議書とは一体何なのでしょうか。
「遺産分割」とは、被相続人の遺産を各相続人に分配し、各相続人の取得分を各自それぞれに確定する手続きをいいます。
以下、民法の規定を引用します。
第三節 遺産の分割
(遺産の分割の基準)
第九百六条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
(遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲)
第九百六条の二 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
2 前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。
(遺産の分割の協議又は審判)
第九百七条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
2 共同相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
3 前項の契約は、五年以内の期間を定めて更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
4 前条第二項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
5 家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
(遺産の分割の効力)
第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
遺産分割について相続人全員が合意した内容を書面にしたものが「遺産分割協議書」です。
遺産分割協議書の方式は、遺言と違って法律でとくに規定していませんが、相続人全員の合意と署名、捺印(実印)が必要です。
相続人全員が集まって話し合いをすることが一番早いでしょう。しかし、相続人が遠方に住んでいたり、仕事等で忙しくてなかなか全員で集まることが難しいこともあるかと思います。その場合は、相続人の代表が、協議書の案を作成して他の相続人に郵送等で送付して署名、捺印(実印)をしてもらい完成することも可能です。
相続人全員が署名、押印した遺産分割協議書は、相続人各人がそれぞれ1通を保有し、不動産の登記申請や預貯金・証券等の名義書き換え申請に使用します。
遺産の分け方については、相続人全員の合意があれば法定の相続分と違った内容でも有効です。
なお、遺産分割協議書には作成期限はありません。
おばた行政書士事務所では遺産分割協議書の作成のサポートを行っています。
まずはお気軽にご連絡ください。