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10.242026
個人事業主同士でも契約書は作った方がいい?【静岡県の行政書士が解説】

個人事業主として仕事をしていると、他の個人事業主に仕事を依頼したり、反対に仕事を引き受けたりする機会があります。
そのようなとき、「個人事業主同士の取引でも契約書は必要なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から申し上げると、個人事業主同士であっても、契約書を作成しておくことをおすすめします。
ただし、すべての取引で契約書の作成が法律上義務付けられているわけではありません。
今回は、個人事業主同士の契約書について、作成する際の注意点やフリーランス法との関係などを解説します。
個人事業主同士でも契約書は必要?
民法第522条では、契約は原則として、申込みに対して相手方が承諾することで成立し、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成などの方式は必要ないとされています。
そのため、個人事業主同士の取引でも、契約書を作成せずに契約が成立する場合があります。
しかし、口頭で合意しただけでは、後から契約内容について認識の違いが生じる可能性があります。
例えば、仕事を依頼した側は報酬に含まれていると考えていた作業について、引き受けた側は追加料金が必要だと考えていた場合です。
契約書に双方が合意した条件を記載しておけば、認識の違いが生じた際にも、契約内容を確認することができます。
また、個人事業主同士の取引では、相手方も独立した事業者として契約を結ぶことになります。
そのため、仕事を依頼する側だけでなく、引き受ける側にとっても、契約条件を明確にしておくことが重要です。
個人事業主同士の契約で注意したいこと
個人事業主同士で契約書を作成する場合には、契約当事者の表示方法や、実際の取引条件について確認しておきたい事項があります。
1.屋号だけでなく事業主本人を確認する
個人事業主の中には、屋号を使用して事業を行っている方もいらっしゃいます。
例えば、「〇〇企画」という屋号で仕事をしている場合です。
しかし、屋号自体には法人格がありません。
個人事業主本人が契約する場合、契約当事者となるのは屋号ではなく、その事業を営む個人です。
そのため、契約書には屋号だけを記載するのではなく、事業主本人の氏名も記載し、契約当事者を明確にしておくことが望ましいでしょう。
例えば、次のような記載方法が考えられます。
屋号:〇〇企画
氏名:〇〇 〇〇
また、事業用の住所と自宅住所が異なる場合もあります。
契約書を作成する際には、記載する住所や連絡先についても、当事者間で確認しておくことが大切です。

2.追加業務が発生した場合の取扱いを決める
個人事業主同士の取引では、仕事を進める中で、当初予定していなかった作業が必要になることがあります。
例えば、写真撮影を依頼した後に、画像の加工や追加撮影もお願いする場合です。
このようなとき、追加業務の報酬について合意していなければ、費用を巡って認識が食い違う可能性があります。
民法第521条第2項では、法令の制限内において、契約当事者が契約内容を自由に決定できるとされています。
そのため、追加業務が発生した場合には、作業内容や報酬について事前に合意することを契約書に定めておく方法があります。
特に、業務の途中で依頼内容が変更される可能性がある場合には、変更の手続についても検討しておくとよいでしょう。
3.報酬以外の費用負担を明確にする
仕事の内容によっては、報酬とは別に交通費や材料費などが発生する場合があります。
例えば、現地での作業を依頼するときに、交通費を依頼者が負担するのか、それとも報酬に含まれるのかといった問題です。
こうした費用の取扱いについては、契約を結ぶ段階で確認しておくことが望ましいでしょう。
具体的には、次のような事項が考えられます。
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なお、民法第649条では委任事務の処理に必要な費用の前払について、第650条では受任者が支出した必要費の償還などについて規定されています。
準委任契約についても、民法第656条により、委任の規定が準用されます。
ただし、具体的な費用負担は、契約の性質や合意内容などによって判断する必要があります。
4.契約を途中で終了する場合を想定する
個人事業主同士の取引では、仕事の途中で契約を終了する可能性もあります。
例えば、依頼者側の事情で業務が不要になった場合や、受託者側が継続して対応することが難しくなった場合です。
契約を途中で終了できるかどうかや、その場合の法律上の取扱いは、契約の内容によって異なります。
民法には、請負契約や委任契約などについて、それぞれ解除に関する規定が設けられています。
そのため、契約書を作成する際には、契約終了時の連絡方法や、それまでに行った業務の報酬、支出した費用の精算などについて検討することが考えられます。
もっとも、当事者間の合意だけで、法律上のすべての規制を排除できるわけではありません。
適用される法律を踏まえて、取引内容に合った条件を定めることが大切です。
個人事業主同士の取引にもフリーランス法が適用される?
個人事業主同士で業務を委託する場合には、2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)」についても確認する必要があります。
この法律は、一定の要件を満たすフリーランスとの業務委託取引について、発注事業者に義務などを定めています。
発注者も個人事業主の場合は?
フリーランス法第2条では、法律の対象となる事業者や業務委託について定義しています。
同法における「特定受託事業者」には、業務委託の相手方となる事業者のうち、従業員を使用しない個人などが該当します。
ここで注意したいのは、仕事を発注する側も個人事業主だからといって、フリーランス法の適用対象外になるわけではないという点です。
例えば、従業員を使用しない個人事業主が、同じく従業員を使用しない個人事業主に業務を委託する場合でも、同法第3条に基づく取引条件の明示義務が生じます。
ただし、個人事業主同士のすべての取引が対象となるわけではなく、同法に定める業務委託に該当するかどうかなどを確認する必要があります。
契約書を作成すれば明示義務を満たせる?
フリーランス法第3条第1項では、業務委託事業者が特定受託事業者に業務を委託した場合、原則として直ちに、取引条件を書面の交付または電磁的方法によって明示することが義務付けられています。
明示事項には、業務の内容や報酬の額、支払期日などが含まれます。
ただし、必ずしも「契約書」という名称の書類を作成しなければならないわけではありません。
法律上必要な事項を、認められた方法で明示することが求められています。
そのため、契約書を作成した場合でも、記載事項や明示の時期・方法によっては、法律上の義務を満たしていない可能性があります。
なお、従業員を使用しない個人事業主が発注する場合でも、フリーランス法第3条に基づく取引条件の明示義務が生じます。一方、発注事業者が従業員を使用している場合などには、取引条件の明示以外にも義務が生じることがあります。
個人事業主同士で業務を委託する場合には、契約書の内容だけでなく、フリーランス法上の義務についても確認することが重要です。
一度きりの取引と継続的な取引では何が違う?
個人事業主同士の契約には、一度だけ仕事を依頼する場合もあれば、同じ相手と継続して取引する場合もあります。
一度きりの取引では、具体的な業務内容、報酬、納期など、その取引に必要な条件を明確にしておくことが考えられます。
一方、継続的な取引では、契約期間や更新の有無、依頼する業務が増減した場合の対応なども関係してきます。
例えば、毎月一定の業務を依頼する場合、ある月だけ業務量が増えたときの取扱いや、翌月から依頼を取りやめる場合の連絡方法などです。
また、契約期間を定める場合には、期間満了によって契約を終了するのか、一定の条件で更新するのかについても検討することができます。
ただし、契約期間や終了方法に関する合意についても、契約の性質や適用される法令に注意が必要です。
なお、フリーランス法第3条の取引条件の明示義務は、原則として、一度きりの業務委託であることだけを理由に免除されるものではありません。
一度きりの取引か、継続的な取引かによって確認したい条件は異なりますが、いずれの場合も取引内容に応じた契約書を検討することが大切です。
個人事業主同士の契約書は行政書士に依頼できる?
個人事業主同士の契約書も、行政書士に作成を依頼することができます。
行政書士法第1条の3第1項では、行政書士が、他人の依頼を受け報酬を得て、権利義務に関する書類などを作成することを業務として定めています。
契約書も権利義務に関する書類の一つです。
ただし、他の法律によって制限されている業務については、行政書士が取り扱うことはできません。
個人事業主同士の契約書を作成する際には、仕事の内容だけでなく、当事者の事業形態や実際の取引方法なども確認する必要があります。
例えば、屋号を使用している場合の契約当事者の記載方法や、追加業務が発生した場合の報酬、契約を途中で終了する場合の精算方法などです。
こうした事項を整理し、当事者間で合意した内容を契約書に反映することが考えられます。
まとめ|個人事業主同士でも契約書の作成をおすすめします
個人事業主同士の取引であっても、契約書を作成しておくことで、双方が合意した条件を明確にできます。
特に、屋号を使用している場合の契約当事者の特定や、追加業務、費用負担、契約終了時の対応などは、事前に確認しておきたい事項です。
また、業務委託の内容によっては、フリーランス法に基づく取引条件の明示義務が生じます。
個人事業主同士だから契約書は不要と考えるのではなく、実際の取引内容に応じて作成を検討することが大切です。
おばた行政書士事務所では、個人事業主同士の契約書作成についてもご相談を承っております。
「個人事業主に仕事を依頼するため、契約書を作成したい」「これから継続的に取引する相手との契約内容を明確にしておきたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
契約書の作成に関するご相談は、静岡県東部のおばた行政書士事務所までお問い合わせください。
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※紛争性のある法律問題など、行政書士の業務範囲を超える事項については、弁護士等への相談が必要となる場合があります。











