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10.42026
自筆証書遺言の作成を行政書士に依頼するメリットとは?【静岡県の行政書士が解説】

「自筆証書遺言なら、自分で書けるのだから、専門家に頼まなくてもいいのでは?」
遺言書の作成を考えたとき、このように思う方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、自筆証書遺言は、公証人に作成してもらう公正証書遺言とは異なり、ご自身で作成することができます。
しかし、「自分で作成できる」ということと、「自由な方法で書いてよい」ということは別です。
自筆証書遺言には、民法で定められた方式があります。
また、形式を整えるだけでなく、ご自身が「誰に、どの財産を、どのように残したいのか」を整理したうえで、その内容を遺言書に反映する必要があります。
そこで選択肢の一つになるのが、行政書士に自筆証書遺言の作成について相談する方法です。
この記事では、自筆証書遺言の基本的なルールと、行政書士に作成を依頼するメリットについて解説します。
自筆証書遺言には法律で決められた方式があります
遺言について、民法第960条は、法律で定められた方式に従わなければすることができないと定めています。
つまり、「自分の意思を書面に残しておけば、それがそのまま遺言になる」というわけではありません。
自筆証書遺言については、民法第968条第1項により、原則として遺言者本人が、
| ・遺言書の全文 ・日付 ・氏名 |
を自書し、さらに押印する必要があります。
そのため、遺言本文をパソコンで作成し、最後に署名と押印だけをする方法では、自筆証書遺言の方式を満たしません。
一方、財産目録については例外があります。
民法第968条第2項では、自筆証書遺言に財産目録を添付する場合、その財産目録については自書する必要がないとされています。
ただし、自書によらない財産目録を添付する場合には、遺言者本人がその各葉に署名し、押印しなければなりません。自書によらない記載が用紙の両面にある場合には、両面への署名・押印が必要です。
また、遺言書の内容を訂正する場合についても、民法第968条第3項に定められた方法があります。
自筆証書遺言はご自身で作成できますが、法律上の方式を確認しながら作る必要がある遺言でもあります。
本人が書いた遺言でも、方式が問題になることがあります
「自分が間違いなく書いた遺言書なら大丈夫」と思われるかもしれません。
しかし、自筆証書遺言では、本人が作成したものであっても、民法で定められた方式を満たしているかが問題になる場合があります。
そのことが分かる判例が、最高裁平成28年6月3日判決です。
この事件では、遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自書していましたが、氏名の下に印章による押印をせず、「花押」を書いていました。
最高裁判所は、花押を書くことは、民法第968条第1項が定める「印を押す」という要件を満たさないと判断しました。
遺言者本人が自分の意思で書いたものであっても、法律が定める方式を満たしているかどうかは別の問題です。
自筆証書遺言を作成するときには、ご本人の希望を文章にするだけでなく、方式についても確認しておく必要があります。
行政書士に自筆証書遺言を相談できる理由
行政書士法第1条の3では、行政書士は、他人の依頼を受けて報酬を得て、官公署に提出する書類のほか、権利義務または事実証明に関する書類を作成することを業とすると定めています。
また、行政書士法第1条の4第1項第4号では、行政書士が作成することのできる書類について、その作成に関する相談に応じることも業務として定められています。
ただし、行政書士法は、他の法律によって業務が制限されている事項については行政書士が取り扱うことができない旨も定めています。
そのため、行政書士はその業務範囲内で、自筆証書遺言についてご本人の希望を確認し、内容を整理しながら文案を作成するなどのお手伝いをすることができます。
では、具体的にどのような点がメリットになるのでしょうか。
メリット1 誰に何を残したいのかを整理できる
遺言書を作ろうと思っても、最初から完成した文章が頭の中にある方は多くありません。
「自宅はこの人に残したい」
「預貯金は子どもたちに残したい」
「相続人ではないけれど、お世話になった人にも財産を残したい」
など、まずは希望から始まることが多いのではないでしょうか。
しかし、実際に遺言書にするためには、ご自身の家族関係や財産を確認したうえで、「誰に」「何を」残したいのかを具体的に整理していく必要があります。
行政書士に相談する場合には、ご本人のお話を伺いながら、家族関係や財産の内容、ご希望を一つずつ確認していきます。
いきなり遺言書を書き始めるのではなく、その前の段階から内容を整理できることは、行政書士に依頼するメリットの一つです。
メリット2 財産を確認しながら遺言書の文案を作成できる
遺言書を作るときには、「誰に残したいか」だけではなく、「どの財産を残したいか」も整理する必要があります。
たとえば、不動産が複数ある場合には、どの土地や建物について書いているのかが分かるようにする必要があります。
預貯金についても、複数の口座を所有している方もいらっしゃるでしょう。
ご自身では財産の内容を把握しているつもりでも、遺言書の作成をきっかけに整理してみると、改めて確認すべき財産が出てくることもあります。
行政書士に依頼する場合には、財産の内容を確認しながら、ご本人の希望に沿って遺言書の文案を整理していくことができます。
また、財産が多い場合には、民法第968条第2項に定められた財産目録を利用する方法もあります。
どのような構成にするかは、財産の内容やご本人の希望によって異なります。
メリット3 相続人以外の方に財産を残したい場合も整理できる
「相続人ではない人にも財産を残したい」という希望がある方もいらっしゃいます。
民法第964条では、遺言者は、包括または特定の名義で、その財産の全部または一部を処分することができると定められています。
たとえば、お世話になった方などに財産を遺贈することを考える場合には、誰にどの財産を残したいのかを確認しながら、遺言書の内容を整理していくことになります。
遺言書を書き始める前に、ご本人の希望と財産の内容を整理しておくことで、文案も検討しやすくなります。
メリット4 遺言執行者を指定するかどうかも検討できる
遺言書を作るときには、「財産を誰に残すか」だけではなく、遺言者が亡くなった後に、誰が遺言内容の実現に必要な手続きを行うのかについて考えることもできます。
民法第1006条では、遺言者は、遺言によって一人または数人の遺言執行者を指定することができると定めています。
ただし、すべての遺言で遺言執行者を必ず指定しなければならないわけではありません。
遺言内容やご家族の状況などによって、遺言執行者を指定するかどうかを検討することになります。
自筆証書遺言を作成するときには、遺言書を書くことだけではなく、亡くなった後の手続きについても考えておくことが大切です。
メリット5 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用するか検討できる
作成した自筆証書遺言は、ご自身で保管するほか、法務局の遺言書保管所に保管を申請することもできます。
この制度は、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」に基づくものです。
同法第4条では、遺言者が遺言書保管官に対して遺言書の保管を申請することができると定められています。
また、遺言書保管所に保管されている遺言書については、同法第11条により、民法第1004条第1項に定められている家庭裁判所の検認が不要となります。
自筆証書遺言を作る場合には、
「完成した遺言書を自宅で保管するのか」
「法務局の保管制度を利用するのか」
という点も考えておきたいところです。
遺言書を作った後の保管方法まで含めて検討しておくことで、作成後にどうすればよいのか分からなくなることを避けやすくなります。
行政書士が遺言本文を代わりに手書きするわけではありません
行政書士に自筆証書遺言の作成を依頼する場合に、特に注意していただきたい点があります。
それは、行政書士がご本人に代わって自筆証書遺言の本文を手書きするわけではないということです。
民法第968条第1項では、遺言者本人が全文、日付、氏名を自書することが求められています。
そのため、行政書士がご本人の希望を伺い、文案を作成した場合でも、最終的な自筆証書遺言の本文は、ご本人に自書していただくことになります。
行政書士に依頼するメリットは、「遺言書を代わりに書いてもらうこと」ではありません。
ご本人の希望や財産、家族関係などを確認しながら、遺言書の内容を整理し、文案を作成していくところにあります。
行政書士に依頼しても、将来の争いを完全に防げるわけではありません
行政書士に自筆証書遺言の作成を依頼したからといって、遺言をめぐる問題が将来絶対に起こらないと保証できるものではありません。
たとえば、遺言の有効性や内容の解釈が争われたり、遺留分に関する問題が生じたりする可能性もあります。
また、すでに当事者間で法的な紛争が生じている場合など、行政書士の業務範囲を超える内容については、弁護士など他の専門家への相談が必要となる場合があります。
相続登記や税務などについても、内容に応じてそれぞれの専門家への相談が必要になることがあります。
行政書士が対応できる範囲と、他の専門家への相談が必要な範囲を区別しながら進めることが大切です。
自分で書ける遺言だからこそ、書く前の整理が大切です
自筆証書遺言は、ご自身で作成できる遺言です。
一方で、民法では作成方法について一定の方式が定められています。
そして実際に作成しようとすると、
「何から始めればよいのか分からない」
「財産をどのように整理すればよいのか分からない」
「誰に何を残すかは決まっているけれど、文章にするのが難しい」
「遺言執行者を指定した方がよいのか分からない」
「法務局の自筆証書遺言書保管制度も利用したい」
といった疑問が出てくることがあります。
行政書士に相談することで、ご本人の家族関係や財産、ご希望を確認しながら、自筆証書遺言を作成するための準備を一つずつ進めることができます。
当事務所では、自筆証書遺言の作成について、ご本人のお話を伺いながら、ご希望や財産の内容を整理し、遺言書の文案作成をお手伝いしています。
「自分で遺言書を書こうと思っているけれど、この内容でよいのか分からない」
という段階でもご相談いただけます。
遺言書の文案作成をご希望の方は、お問い合わせフォームまたはLINEからご連絡ください。












