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SNSで他人の写真を使うと違法?著作権・肖像権の基本【静岡県の行政書士が解説】

SNSが生活の一部となった今、「いい写真を見つけたからシェアしたい」「この投稿、みんなにも見てほしい」と思う場面は日常的にあります。
しかし、その“何気ないリポスト”が、思わぬ法的トラブルにつながる可能性があることをご存じでしょうか。

実際、「悪気はなかった」「みんなやっているから大丈夫だと思った」といった理由で、著作権侵害として削除要請や損害賠償請求を受けるケースは少なくありません。
この記事では、SNSで他人の写真をリポストする際に必ず知っておきたい著作権と注意点を、できるだけ分かりやすく解説します。

そもそも「写真」には著作権がある

まず大前提として、他人が撮影した写真には原則としてすべて著作権があります。

著作権とは、創作した人(この場合は撮影者)が持つ権利で、以下のような行為をコントロールできます。

  • 複製する(保存・スクショ・転載)

  • インターネット上に公開する(投稿・再投稿)

  • 第三者に使わせるかどうかを決める

つまり、他人の写真を勝手に保存して再投稿する行為は、「複製」と「公衆送信」にあたり、原則として著作権侵害になる可能性があるということです。

「SNSに投稿されている=自由に使っていい」という誤解は、非常に多いですが、これは完全な間違いです。

「リポスト」と「再投稿」は法的には別物

① 公式のシェア機能(リポスト)は原則OK

X(旧Twitter)のリポストは、
「投稿者が拡散されることを前提に投稿している」ことが、各SNSの利用規約で整理されています。

そのため、

  • ボタン操作だけで行う

  • 元の投稿がそのまま表示される

  • 改変しない

この条件を満たす公式シェア機能の利用は、基本的に著作権侵害にはなりにくいとされています。

② スクショして再投稿は「アウト」になりやすい

一方で、次の行為は別扱いになります。

  • 写真をスクショして自分の投稿として再アップ

  • 背景や文字を加えて再投稿

  • トリミングして「自分の投稿」のように扱う

これは、公式機能による共有ではなく、「無断転載」と判断されやすく、著作権侵害になるリスクが一気に高まります。

「引用」と「リポスト」はまったく違う

よくある誤解が、「これは引用だから大丈夫」という認識です。
しかし、SNS上の写真リポストが「著作権法上の引用」と認められるケースは、ほとんどありません。

引用と認められるためには、次のような厳しい条件があります。

  • 主従関係が明確(自分の文章が主、引用が従)

  • 必然性がある(説明・批評のためにどうしても必要)

  • 出典の明記がある

  • 改変していない

単に「この写真いいね!」「参考になります!」という目的で載せることは、法律上の「引用」には基本的に当たりません。

出典を明記しても「許可なし」はNG

これも非常によくある誤解ですが、

  • 「出典:〇〇」

  • 「引用元はこちら」

と書いたからといって、許可が不要になるわけではありません。

出典の明記は「必要条件」であって、「十分条件」ではありません。
許可なしに写真を再投稿した場合、出典を書いていても著作権侵害になる可能性は消えないという点は、必ず押さえておく必要があります。

写真には「著作権」と「肖像権」がダブルで関係する

写真のトラブルが厄介なのは、著作権だけでなく「肖像権」も同時に問題になるケースが多い点です。

肖像権とは?

肖像権とは、簡単に言うと、

「自分の顔や姿を、勝手に使われない権利」

のことです。

他人が撮影した写真であっても、

  • 一般人の顔がはっきり写っている

  • プライベートな場面である

  • 本人が公開を想定していない使い方をした

こうした場合、著作権者の許可があっても、写っている本人から肖像権侵害として訴えられる可能性があります。

芸能人であっても、広告的な使い方や、誤解を生む使い方をすると、問題になることがあります。

ビジネス利用・営業目的は特に危険

特に問題になりやすいのが、次のようなケースです。

  • 自分のサービスの宣伝に使用

  • 集客のために投稿

  • 商品や講座の紹介と一緒に使う

  • 企業アカウント・事業用アカウントでの使用

これらはすべて商用利用(営利目的)と判断されやすく、
無断使用=高確率でトラブルになるゾーンです。

「個人だから大丈夫」「小さなビジネスだから問題ない」ということは法律上ありません。

実際によくあるトラブル例

実務上、次のような相談は非常に多いです。

  • 無断使用で削除要請が届いた

  • 画像使用の対価として数万円〜数十万円の請求が来た

  • アカウントが凍結された

  • クライアントから「勝手に使われた」とクレームが入った

とくに最近は、画像の無断使用を専門に監視している企業や個人も増えており、「見つからないだろう」は通用しにくくなっています。

トラブルを防ぐための安全な対策

SNSで写真を扱う際は、次のルールを意識すると安全です。

  • 公式のシェア・リポスト機能のみを使う

  • スクショ転載はしない

  • 商用利用する場合は必ず許可を取る

  • 人物が写っている写真は特に慎重に扱う

  • 「出典を書く=セーフ」と勘違いしない

どうしても使いたい場合は、

「この写真をSNSで紹介させていただいてもよろしいでしょうか?」

一言許可を取るだけで、多くのトラブルは防げます。

「知らなかった」では済まされない時代へ

著作権のトラブルは、

  • 悪意がなくても成立する

  • 「みんなやっている」では免責されない

  • 個人でも請求される

という特徴があります。

SNSが身近になったからこそ、
これからは「発信する側としての責任」もセットで求められる時代になっています。

便利で楽しいSNSを安心して使い続けるためにも、

  • 何がOKで

  • 何がアウトなのか

この基準だけは、最低限押さえておくことがとても大切です。

弊所代表行政書士は、養成研修を修了し、所定の効果測定に合格した著作権相談員です。

おばた行政書士事務所では、契約書の作成をサポートしています。

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