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安心して結べる契約とは?認められる契約とそうでないものの違い【静岡県の行政書士が解説】

契約は私たちの生活やビジネスにおいて欠かせないものです。信頼できる契約を結ぶためには、認められる契約とそうでないものの違いを理解し、適切な契約書を準備することが重要です。今回は、安心して結べる契約について解説します。

認められる契約の基本条件

まず、契約が有効とされるためには、次の条件を満たす必要があります。

(1) 当事者の意思表示の合致

契約は、当事者双方が合意し、自発的に意思を示すことで成立します。例えば、物品の売買契約では、売主が売る意思を示し、買主が買う意思を示すことで契約が成立します。これにより、契約は互いの合意を基礎として成り立ちます(民法第521条)。

(2) 内容の明確性

契約内容は明確で、具体的である必要があります。例えば、物品の売買契約において「この商品を売る」という記述だけでは不十分です。商品名、数量、価格、納品日などの詳細が必要です。内容が不明確だと、後の紛争の原因となり、契約が無効とされる場合があります(民法第522条)。

(3) 実現可能な目的

契約は実現可能なものでなければなりません。実現不可能な契約は無効とされます。例えば、「月の土地を売買する」という契約は、物理的に実現不可能であるため、無効です(民法第90条、公序良俗に反する契約としても考えられます)。

 

認められない契約の例

(1) 公序良俗に反する契約

契約内容が公共の利益や道徳に反する場合、無効となります。たとえば、犯罪行為に関与する契約や不当な利息を設定した貸金契約は、無効です。民法第90条には「公の秩序または善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」とあります。

(2) 不当な利益をもたらす契約

一方の当事者に過度な利益をもたらし、相手に極端な不利益を与える契約も無効です。たとえば、不当に低い価格で財産を取得する契約は、詐欺や脅迫による契約とみなされ、取り消しが可能です(民法第96条)。

(3) 制限行為能力者による契約

未成年者など、行為能力に制限がある者が親権者や保護者の同意なしに契約を結んだ場合、その契約は取り消される可能性があります(民法第5条)。

実例で見る契約の有効性

(ケース1: 不動産売買契約の例)

ある土地を売買する際、当事者が合意し価格などの詳細条件を明確にした契約書を作成しました。これは、有効な契約です。

ただし、その土地が所有者の権利を超えて処分できないものであることが後から判明した場合、契約は無効となることもあります(民法第95条の錯誤による無効)。

(ケース2: 詐欺による契約)

一方が他方を欺いて契約を結ばせた場合、欺かれた側は契約を取り消すことができます。例えば、偽の情報を提示して商品を売りつけたケースです。

民法第96条に基づき、詐欺による意思表示は取り消しが可能です。

 

安心して結べる契約書の重要性

契約書は、口頭の約束だけでなく書面にすることで、トラブルを防ぎ、証拠としても有効です。契約書を作成する際は、以下の点に注意しましょう。

(1) 契約内容の詳細記載

契約書には、契約の目的、当事者の情報、条件、履行方法、期限などを具体的に記載します。これにより、当事者が後で異なる解釈をすることを防ぎます。

(2) 紛争解決条項

契約書には、万一のトラブルに備え、紛争解決の方法(調停、仲裁、管轄裁判所など)を明記しておくことが有効です。これにより、問題が生じた際の対応が明確になります。

(3) 適切な署名・捺印

契約書は当事者双方が署名や捺印をすることで、その意思表示を裏付けます。これによって、契約が双方の合意のもとに成立したことが証明されやすくなります。

まとめ

契約を結ぶ際には、合意の有無、内容の具体性、実現可能性を確認し、公序良俗に反しないようにすることが重要です。契約書を作成する際には詳細な記述と紛争解決策を盛り込むことで、安心して結べる契約が可能になります。これにより、トラブルのリスクを大幅に減らし、スムーズな取引を実現できます。

契約の有効性を支える基本的な要素を理解し、注意深く契約書を作成することが、より良いビジネスや個人の取引に繋がるでしょう。

 

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