ちょっと役立つコラム

いい夫婦だけど…共同遺言はしてはいけません!!【静岡県の行政書士が解説】

本日は11月22日、「いい夫婦の日」ですね。

今回はそんないい夫婦に関係するお話をしようと思います。

夫婦の仲がとても良くて遺言書も一通に一緒に書けば楽だから一緒に書こうかな?

このように考えている…そこのご夫婦!!…ちょっと待ってください。

 

もし、夫婦仲良く同じ書面に遺言書を遺したらせっかく書いた遺言書は法的に無効になってしまいます。

法律上、2人以上が同一の証書を用いて遺言することを「共同遺言」といいます。共同遺言は民法975条によって禁止されています。

民法

(共同遺言の禁止)

975条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

 

 

それはなぜか?主な理由は3つです。

①各遺言者の意思が相互に制約され、遺言自由の確保が困難であること

②遺言者の一方が死亡した場合に、他方がもはや遺言を撤回できなくならため遺言撤回の自由を妨げること

③遺言の効力発生時期につき、問題が生じること

 

どんなに仲が良くても遺言書は一緒に書いてはダメですよ。

必ず一人一通ずつ書きましょう。

2人で遺言書を書くことで、遺言の解釈が複雑になってしまうのです。

 

もし、仲が良いご夫婦で、自分の子供たちが自分たちの相続で揉めて欲しくないとお考えであるのであれば同じ日にそれぞれ一通ずつ遺言書を書くのはいかがでしょうか。

また同じタイミグでお互いに書くことも良いかもしれません。

お互いに何かがあったときのために夫婦で相互に作り合う遺言書を、「夫婦相互遺言」と呼びます。

とくにこの夫婦相互遺言は子供のいないご夫婦におススメです。

子供がいない夫婦で、夫が先に死亡した場合、法定相続人は妻と(通常親は先に死亡しているので)夫の兄弟というケースが多いと思います。

ここで遺言がなければ、夫名義の不動産を妻名義にするには夫の兄弟の印鑑が必要になります。また、兄弟には4分の1の法定相続分があるため請求されればその分を支払わなければなりません。

しかし、遺言で全てを妻に相続させるとあれば、兄弟には遺留分はありませんから、不動産の名義変更にも兄弟の印鑑は不要です。

そのため遺言通りに全ての遺産を妻が相続できます。遺言書があれば、遺産分割協議を行うことなく、財産を譲ることができるのです。

遺言書には「もし、どちらか一方が亡くなった場合には~」というような文言を入れることもできます。

 

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