ちょっと役立つコラム

自分の最期をどのように迎えたいか? 行政書士が伝える“自分の最期を考える”ということ

「自分の最期をどのように迎えたいか」
この問いを、真剣に考えたことがあるでしょうか。

人生の終わりについて語ることは、どこか縁起が悪い、まだ早い――そう感じる方も多いと思います。
“最期”を考えることは、“死”の準備ではなく、“生き方”を整える作業でもあるのです。

エンディングノートは「人生の棚卸し」

エンディングノートとは、これまでの人生やこれからの希望を自由に書き残すためのノートです。書式は自由で、法的な決まりもありません。
家族や友人へのメッセージ、延命治療の希望、葬儀の形、財産や保険の情報、ペットの世話、SNSのアカウントなど――内容は多岐にわたります。

実際に書き進めていくと、「自分はどんな価値観で生きてきたのか」「誰に何を託したいのか」といった、自分自身の“軸”が見えてきます。
例えば、葬儀の形を考える中で「家族に負担をかけたくない」「感謝を伝えたい」という想いが明確になることもあります。

エンディングノートを書く目的は、「死後の指示を残すこと」だけではありません。
むしろ、“これからの生き方”を整理することに意味があるのです。
人生の節目に一度、自分の想いや財産の状況を整理しておくことは、残される家族のためにも、何より自分の心の安心にもつながります。

「想い」を形にする ― 遺言書という選択

エンディングノートは想いを記すものですが、法的な効力はありません。
「誰に何を遺したいか」「自分の財産をどのように分けたいか」といった具体的な意思を確実に反映させるためには、遺言書の作成が必要になります。

遺言書には主に3つの方式があります。
自分で書く「自筆証書遺言」、公証役場で作成する「公正証書遺言」、そして秘密に保管できる「秘密証書遺言」です。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、確実性と安心感を重視するなら、公正証書遺言をおすすめします。

遺言書を作成することで、相続人同士の争いを防ぎ、財産の分配を円滑に進めることができます。
特に最近は、法改正により自筆証書遺言を法務局で保管できる制度も整備され、以前より作成しやすくなりました。

“お金の話”は“想いの話”

財産をどう分けるかというと、つい「お金の話」と捉えがちです。
しかし、遺言書を作成する現場では、実際には“想いの話”であることが多いのです。

たとえば――
「これまでお世話になった長男に家を守ってほしい」
「介護をしてくれた娘に感謝を伝えたい」
「孫の進学を応援したい」

そこには、感謝・信頼・祈りといった“心のメッセージ”が込められています。
遺言書は財産の分け方を決めるだけでなく、「自分の想いを伝える最後の手紙」でもあるのです。
行政書士として遺言書の作成をお手伝いする中で、私が最も大切にしているのは、この“想いの部分”です。

法律上の正確さだけでなく、「なぜそのように遺したいのか」という背景を整理することで、より納得感のある遺言書になります。

準備を始めるのは「まだ早い」ではなく「ちょうどいい」今

遺言書というと、高齢になってから書くものと思われがちです。
しかし、実際には、50代や60代の方からのご相談もあります。

現役世代のうちに「自分の想いと財産を見つめ直しておきたい」という方が増えているのです。

また、人生100年時代といわれる今、健康で元気なうちに準備をしておくことで、万が一のときに家族が迷わず行動できます。
体力的にも精神的にも余裕がある時期こそ、冷静に判断し、丁寧に言葉を選べるものです。

自分の最期を描くということ

「自分の最期をどう迎えたいか」。
それは、未来の不安に備えることではなく、“今”をどう生きるかを見つめ直す問いです。

どんな人に囲まれていたいか。
どんな言葉を残したいか。
何を大切にして生きてきたのか。

エンディングノートや遺言書を通して、自分の人生をもう一度見つめ直すことは、これからの時間をより豊かにする第一歩でもあります。

おわりに

「死」は誰にとっても避けられないものですが、「どう迎えるか」は自分で選ぶことができます。
エンディングノートは“心の整理帳”、遺言書は“想いを託す手紙”です。
どちらも、あなたの生き方を支える大切なツールになります。

もし「何から始めたらいいか分からない」と感じたら、まずは一枚の紙に「自分の最期をどう迎えたいか」を書いてみてください。
その一歩が、あなた自身と家族の安心を生むきっかけになるはずです。

おばた行政書士事務所では遺言書の作成のサポートを行っています。

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