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外国人技能実習生制度の現状と未来:法改正の展望とは?【静岡県の行政書士が解説】

外国人技能実習生制度は、日本にとって海外からの労働力を受け入れつつ、技術を発展途上国に伝えるという大切な役割を持った制度です。

この制度が始まったのは1993年で、当初は日本の技術を学んで母国に持ち帰ってもらうことが目的でした。

しかし、今では少子高齢化による労働力不足を補うための一環としても機能しているのが現状です。

この記事では、外国人技能実習生制度の現状、抱えている課題、そして今後の法改正について、少し未来を見据えながらお話ししたいと思います。

技能実習生制度ってどんなもの?

まず、技能実習生制度の基本をおさらいしましょう。

この制度は、発展途上国の人々が日本に来て、農業や建設、製造業、介護など、さまざまな分野で技術を学びながら働くことを目的としています。最長5年間、実習生として日本で過ごすことができ、その間に専門的なスキルを習得します。

理想としては、彼らが日本で学んだ技術を母国に持ち帰り、地域の産業発展に貢献することが期待されています。でも、現実は必ずしも理想通りにはいっていない部分もあります。実際には、特に地方や中小企業で、労働力不足を補うために技能実習生が必要とされているのが現状です。

現状の課題

外国人技能実習生制度には素晴らしい理念があるものの、いくつかの問題が指摘されています。たとえば、劣悪な労働環境、低賃金、長時間労働、そしてパワハラといった人権問題です。中には、厳しい労働条件に耐えられず、実習生が失踪してしまうケースも少なくありません。2022年には、5,000人以上が失踪しているというデータもあり、この数字は無視できません。

これらの問題は、技能実習生にとっても、日本の社会や企業にとっても大きな課題です。今のままでは、お互いにとってプラスにならない状況が続いてしまうため、制度の改善が必要です。

 

今後の法改正に期待

こうした問題を解決するために、政府は外国人技能実習生制度の見直しを進めています。2024年には、いくつかの法改正が予定されており、その主なポイントを以下に挙げてみます。

①労働環境の改善

実習生が安心して働ける環境を作るため、企業への監視や指導が強化される見込みです。賃金や労働時間に関する基準が厳しくなり、違反した企業に対する罰則も強化される方向です。

②人権保護の強化

実習生がハラスメントや差別に遭わないよう、報告や相談がしやすい体制を整えることも議論されています。問題が起きたときに、迅速に対応できる仕組みを作ることが重要視されています。

③受け入れ企業の質向上

実習生を受け入れる企業に対して、より厳しい基準が設けられる見込みです。これにより、実習生の労働環境や待遇にばらつきが出ないようにすることが期待されています。

④透明性の向上

実習生の選定や受け入れのプロセスがより透明になるような仕組みも検討されています。

例えば、送り出し機関や受け入れ企業がどのように運営されているかを明確にし、不正やトラブルが起きにくい体制が求められています。

 

法改正後の未来はどうなる?

今後の法改正によって、外国人技能実習生制度はさらに進化していくでしょう。労働力としての側面だけでなく、実習生の権利や生活環境の改善が期待されます。この変化は、日本企業にとってもプラスになるはずです。実習生が安心して働ける環境を提供することで、彼らのモチベーションが上がり、結果的に生産性の向上にもつながるでしょう。

また、技能実習生制度が将来的に廃止され、新たな在留資格制度に移行する可能性も議論されています。

たとえば、「特定技能制度」は、技能実習生制度に代わる制度として既に始まっています。こちらは、実質的に労働者として日本で働くことが前提となっており、技能実習生よりもさらに日本での生活が安定しやすい制度です。このような新しい仕組みも、今後ますます注目されるかもしれません。

最後に

外国人技能実習生制度は、日本社会にとって大切な労働力供給の仕組みであり、技術を発展途上国に伝えるための重要な手段でもあります。しかし、現状の課題にしっかりと向き合い、実習生が安心して働ける環境を整えることが必要です。これからの法改正によって、実習生にとっても日本企業にとっても、より良い制度に改善されていくことを期待しています。

 

 

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