ちょっと役立つコラム

創作物を守るために必要な著作権譲渡契約書【静岡県の行政書士が解説】

創作活動を行う中で、著作権の扱いは重要な課題です。著作権譲渡契約書は、作品の著作権を他者に譲渡する際に必要な文書で、法的なトラブルを未然に防ぐための予防法務として機能します。ここでは、予防法務専門の行政書士の視点から、著作権譲渡契約書の重要性や具体例について説明します。

1. 著作権譲渡契約書の役割

著作権譲渡契約書は、著作権を持つクリエイターや企業が、第三者にその権利を譲渡する際の条件を詳細に規定します。これにより、著作権の範囲や使用条件に関する誤解を防ぎ、後々の紛争を避けることができます。特に、企業がフリーランスやパートナー企業と共同プロジェクトを進める場合は、著作権の所在を明確にしておくことが不可欠です。

2. 契約書に含めるべき主な項目

著作権譲渡契約書には、以下の項目を盛り込むことで、双方の権利と義務を明確にできます。

(1) 契約の対象となる著作物の特定

契約書では、譲渡の対象となる著作物を明確に特定することが必要です。例えば、「2024年制作の児童向け絵本『動物たちの冒険』全ページ」といった具合に、具体的な作品名と内容を記載します。

(2) 著作権譲渡の範囲

譲渡される権利の範囲を契約書で明示することが重要です。例えば、著作物の商業利用、改変権、二次利用の可否などについて詳細に記述します。「本契約により、著作物の再販及び翻訳を含む二次使用権を譲渡する」などの記載が典型です。

(3) 対価

著作権譲渡に関する対価について明確に記載します。例えば、「著作権の譲渡対価として、譲渡者に一括払いで30万円を支払う」など、金額や支払方法を明記します。対価が未定義のままでは、契約の法的有効性に疑問が生じることがあります。

(4) 契約の有効期間

譲渡契約が永久に有効か、一定期間だけ有効かも明確に記述します。例えば、「契約締結日から10年間の著作権譲渡」といった記載が考えられます。

(5) 著作者人格権の取り扱い

著作権を譲渡しても、通常は著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)は譲渡者に残ります。譲受者が著作者人格権をどう扱うか、「著作者は本契約に基づき、人格権を行使しない」と記述することで、実務上の合意を得ることが一般的です。

3. 具体例: イラスト制作のケース

具体例として、出版社がフリーランスのイラストレーターに依頼して、絵本の挿絵を制作したケースを見てみましょう。この場合、契約書には次のような要素が含まれます。

対象物の特定: 「絵本『森の動物たちの物語』の全挿絵」

譲渡範囲: 「商業出版及び販促活動において使用可能」

対価: 「譲渡対価として合計50万円を分割払いで支払う」

有効期間: 「契約締結日以降、無期限」

人格権の扱い: 「著作者は本作品に対する氏名表示権を主張しない」

4. 予防法務の観点からの重要性

予防法務として、契約書を事前に作成・締結することは、後の紛争防止に効果的です。曖昧な契約内容や口約束では、双方の期待が食い違ったときに問題が生じます。行政書士は、契約の整備をサポートし、法的な観点からリスクを軽減するアドバイスを提供します。

 

詳しくはこちらもご参照下さい

文化庁 著作権契約書作成支援システム

 

5. まとめ

著作権譲渡契約書は、創作物の適切な管理と利用を促進し、双方の権利を守るために重要です。契約書をしっかりと整備することで、クリエイターは安心して創作活動を行い、企業は安心して作品を利用できます。具体的な契約内容に関しては、行政書士や法務専門家に相談し、法的に有効な契約を締結しましょう。

 

 

 

弊所代表行政書士は、養成研修を修了し、所定の効果測定に合格した著作権相談員です。

おばた行政書士事務所では、契約書の作成をサポートしています。

まずはお気軽にお問い合わせください。

おばた行政書士事務所へのお問い合わせはこちらから

 

関連記事

ページ上部へ戻る